ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

人脈というものの正体

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昨日に引き続き、あまりにも名著なので、もう一度。

 

 

 

「なんでこの人の周りには人が集まってくるのだろう」

私の周りにはやたらとコミュ力がある知り合いが数人いる。

飲み会の時では、必ずと言っていいほど目立つのだ。

 

「〇〇さんはどう思う?」

「〇〇さんは普段何をしているの?」

など、30人以上いる飲み会でも、一人で回しているんじゃないかというくらい喋りまくるのだ。

 

喋りが上手い人には、自然と人が吸い寄せられてくるのかもしれない。

飲み会の誘いが絶えず、いつも飲み歩いている。

 

私はそんなコミュニケーション能力が高い人たちを見ると、どうしても羨ましく思える自分がいた。

 

世の中で勝つ人は圧倒的にコミュニケーション能力が高い人だと思う。

何をやるにも喋れる人が生き残るのだ。

営業もそうだし、コンサルもそうだし、研究職の人だって予算を申請するのにお偉いさんを説得できるかできないかで研究費の割り当ても大きく変わってくるだろう。

 

どんな道に進もうが、文系、理系にかかわらず喋れる人が世の中に頭角を出してくるのだと思う。

芸術の世界も同じだ。

エヴァンゲリオンシンゴジラを監督した庵野秀明監督は、いつもは寡黙そうに見えても飲み会の席では一番目立つらしい。

アニメーターが集まる中、いつも一人で喋りまくるのだ。

大学時代からアニメーター内では目立つ存在だったらしく、自然と人から仕事に誘われるようになり、20代前半で「風の谷のナウシカ」でアニメーターをやったりで、次々と頭角を出していった。

もちろん、どれだけクオリティが高い絵を描けるかは大切だと思う。

しかし、絵が上手い人など世の中に腐るほどいるのだ。

その中で庵野秀明が他のアニメーターと違って頭角を出せてきたのは、やはり現場を指揮できるコミュニケーション能力が高いからだと思う。

 

昔、映像ディレクターの先輩と飲みに連れて行ってもらった時も同じようなことを聞いた。

 

「映画の世界で生き残れる人はとにかく喋れる人だ。映画監督なんていう仕事、どこかのお偉いさんがこいつに監督をやらせてみたいと言った瞬間、誰でも監督になれるんだ。たとえ、学生であっても東宝のプロデューサーに気に入られれば、一本映画を監督できたりする。人脈っていうものがとても大切なんだ」

 

 

その人曰く、どれだけクロリティの高い映画を撮れるかよりも、現場を指揮できるコミュニケーション能力とお金を集めてこれる人脈が監督になる資質で一番大切らしいのだ。

 

クオリティが高い映像を撮れるかどうかはカメラマンに任せればいい。

とにかく人脈が作れる人がクリエイティブな世界で生き残るという。

 

確かにそれはあるなと思った。

小説家やライターをやっている人も、どれだけいい文章を書けるか? 

というものも大切だが、どれだけ信頼できる出版社の人脈があるか? 

ということがもっと大切な気がする。

 

世の中には村上春樹よりも面白い文章を書き、ベストセラー作家よりも量を書いている小説家の卵のような人はいっぱいいるのだと思う。

サラリーマンをやりながら、書いている人もいるだろう。

小説家の人よりも面白い文章を書ける人なんていっぱいいる。

 

だけど、プロの小説家はプロであって、サラリーマンをやりながら趣味で小説を書いている人はアマチュアなのだ。

その二つを分けているのは、やはり人脈を持っているかもっていないかだと思う。

 

私は昔からどうも人とのコミュニケーションが苦手で、極度の人見知りなところがあった。高校時代は人と喋らなくて済むように、部活などにも入らず、いつも逃げてばかりいた。

しかし、世の中、喋れる人が強いと気づいた時に、私はこれまでコミュニケーションというものから逃げてきた自分に後悔した。

 

人脈がある人は強い。

どうやったらコミュニケーション能力が高められるんだろう……

喋りが下手くそな自分には世の中の隅っこでひっそりと生きていくしかない。

そう思っていた。

 

そんな時、ふとこの本と出会った。

あまりにもいい本すぎて、擦り切れるくらい読み込んだ本だ。

ワタミ社長の渡邉美樹さんが書いた「強く、生きる。」

 

とにかくこの本は感動する。

仕事とは何か? 夢とは何か?

20代前半で、トラック運転手をやりながら地道に資金を貯め、苦労しながらも全国にチェーン店を持つワタミを起業していった社長だからこそ書ける言葉がその本の中にはあった。

 

私は普段、自己啓発本の類の本はあまり好きではない。

読んだら自分があたかも一介の経営者になれた気分がするだけで、身になってこない気がするのだ。

しかし、この「強く、生きる。」だけは何度も読み直したくなるくらい、いい本なのだ。

 

渡邉美樹社長の人柄が行間の中にもあふれていて、読んでいてとても心地よいのだ。

特に大好きな一節がある。

それは人脈作りというものに違和感を感じていた自分にとっては衝撃的な言葉だった。

 

 

「人脈を広げるのに一生懸命になっている人がいますが、誰かの支援を受けたいとか、困った時に頼れる相手を作っておこうなどと、後に「役立てる」ことを目的に人脈を作るのなら、それはやめたほうがいいと思います。

人と知り合うにもふさわしい「時」があって、不自然な形で無理に人脈を広げても、その付き合いが深まることはまずありません。人との出会いや交流というのは、もっと自然発生的なものです。人脈作りに精を出すひまがあったら、もっと己の人間を磨くことに手間と時間をかけるべきです。まず、自分が周囲に豊かな人脈を作るにふさわしい人間になれるように努めること。自分自身の人間を磨くことが大切なのです」

 

私はずっとコミュニケーション能力が高い人に、自然と人が集まってきて人脈が生まれてくるものだと思っていた。

しかし、違うのだ。

影でもきちんと努力している人に、自然と人は集まってくるのだ。

 

世の中には年収1000万クラスのエリートな人がたくさんいる。

そんな影響力のある人と出会えるには、飲み会で名刺を配りまくることよりも、目の前のことにきちんと向き合って、努力していくことが一番大切なのだと思う。

 

尊敬しているとあるライターさんは若い頃、毎日1万6千字の文章を書いていたという。原稿用紙40枚分だ。異常な量だ。

フリーターだった頃はどんなに努力しても自分の言いたいことを聞いてさえもらえなかったが、毎日書いて、努力を重ねていくうちに、いつしか自然と人が集まってきて、自分の主張が世の中で聞いてもらえるようになったという。

人一倍、死に物狂いだったのだと思う。

そんな死に物狂いに努力している人には自然と人が集まってくるのだろう。

 

 

世の中では、喋りが上手い人、コミュニケーション能力が高い人がのし上がっていくことは事実だろう。

しかし、死に物狂いで努力を重ねている人にも自然と人が吸い寄せられ、気づかないうちに人一倍の人脈が広がっていくのだと思う。

 

喋りが下手な自分には無理だ……

才能なんてない……

と憂いているのではなく、毎日努力を積み重ねていれば、どこかで点と点が繋がるのかもしれない。

死に物狂いで書くことに取り組んでいたら、どこか実りあるものにたどり着くのではないか。

そんなことを思いながら、毎朝ライティングに励むことにした。

 

 

 

 

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