「何で世界はこんなにも汚いんだ」 私は常にそんなことを思っていた。 小学生の頃から大のネガティブ思考で、クラスの隅っこにいるような暗い生徒だったと思う。ネガティブである方が生きるのが楽だと思っていた節もあった。 ものごとポジティブに考えている…
「あ!」 それは突然だった。 私が吉祥寺に買い物に出た帰りに、自転車で道路を走っていると、道路の隅っこに猫が転がっているのを見かけたのだ。 交通量が多い道路だ。 たぶん、猫は道路に飛び出してしまい、車にひかれたのだろう。 運転手も猫をひいたこと…
あの日、東京が全停止した日。 私は公民館の自習室で勉強をしていた。 前日に国立大学試験の結果発表があり、思っていた通りに落ちていて、一年間の浪人生活が決定していた。 私の気分はどん底だった。 あ、やっぱり落ちた。 勉強へのモチベーションもほとん…
私は音楽映画が苦手だった。 音楽にあまり興味がないということもあるが、映画の出来を曲でごまかしている感じがしていて、どうしても物語が頭の中に入ってこない。 ましてやミュージカル映画なんて、最も苦手なジャンルだ。 セリフを曲の中で表現するため、…
「何でここで坂本龍馬が……?」 私は先日GReeeeNの映画「キセキ あの日のソビト」のラストシーンを見ている時に、スクリーンを見ながらそう思っていた。 ラストシーンでGReeeeNのCDが並んである棚のそばに「竜馬がゆく」が並べてあったのだ。明らかに意図して…
「俺、実は全く勉強できないんだよね」 とある芸人がテレビ番組でそう言っていた。 私は驚いた。 え? 勉強できない? めっちゃテレビで知的そうなイメージあるんだけどな。 その芸人はアメトークの家電芸人などによく出演していて、知的で物知りのイメージ…
「ありのままの君たちの姿を映画で描いてください」 とある学生映画祭で審査員を務める映画監督の人がそう言っていた。 「学生映画なんだから技術はどうでもいい。それよりも君たちが何を感じ、何を考えているのかをぶつけてくるような熱い映画を見たい!」 …
「なんで私ではなくて、あいつが選ばれるんだ」 大学の同級生で大手企業に受かった人を見て、私は劣等感に包まれていた。 私は大学4年生の時、就活というものをしていた。 前評判で「就活だけは一筋縄ではいかない」 「人生最大の嘘つき大会だ」みたいなこ…
「ナンダコレハ」 小学生だった頃、初めてみた「鋼の錬金術師」アニメ放送のエンディングを見て、驚いたのを今でも驚いている。 兄弟たちが背負った罪が明かされた時、私は呆然としながらテレビを眺めていたと思う。 次の日、学校に行くと「鋼の錬金術師」の…
「やりたいことがない」 それは私のコンプレックスだった。 就活の時は本当に苦労した。 行きたい会社などなかった。 やりたいことなどなかった。 いや、あえているならば、やりたいことがあったが、やりたいことができる会社がなかったのかもしれない。 私…
「大人になってからもまどかマギカだけは見たほうがいい」 ある人がこう言っていた。 「まどかマギカ?」 あの魔法少女が出てきて、なんだかよくわからない敵を倒すものか? 私はそのアニメにそんなイメージを持っていた。 プリキュアやセーラームーンみたい…
「なんだこの写真は」 私はその写真家の写真を始めて見た時に、衝撃を受けたことを今でも覚えている。 何もない平坦な砂が続く鳥取砂丘に立つ、4人の少女の姿を見て、私は何かを感じてしまった。 被写体の構図から、カメラワークまでがあまりにも洗練として…
「何者かになるために上京してきた」 そう劇作家の本谷有希子はテレビで言っていた。 何者かになるために、東京にやってきて、20歳そこそこで自身が主催する劇団を立ち上げ、本谷有希子は何者かになった。 何者かになるためのパワーを持っていたのかもしれ…
「書きすぎだよ」 英単語で埋まっている私のノートを見て、中学の同級生はそう言っていた。 ノートにびっしりと書いてある英単語帳を見て、何かを思ったようだ。 「何でそんなに書いて覚えようとするんだよ」 彼は割と成績が良い人で、部活動で忙しい中でも…
「読めない」 自分が書いたノートを見直してはいつもそう思っていた。 私はとにかく字が汚い。 その上、ノートに板書をまとめるのが下手くそだった。 高校受験や大学受験で予備校に通っている頃は、ノートで苦労した。 いくら頑張って先生の講義を聞いても、…
「書けない……」 それは今年に入ってからの最大の悩みだった。 去年の末からライティングの魅力に気づき、書くということにきちんと向き合い始めた私だが、どうしても毎日書いているとネタがなくなってくる。 家のパソコンの前で唸りながら、今週の締め切りの…
「世界を信じた、純粋な裏切り者」 彼はよく、こう称されていた。 米国最大の秘密を暴いた男。 彼のことを犯罪者と呼ぶ人もいれば、英雄と称する人もいる。 彼の名はエドワード・スノーデン。 元NSA(米国国家安全保障局)で勤務していた彼は、政府が国民を…
「今、世界の人がどうしてこんなに苦しむかというと、自己表現しなきゃという強迫観念に覆われているからです。それはある種の呪いです。そう簡単にできるものじゃありません。砂漠で塩水を飲むように、飲めば飲むほど喉が渇きます」 作家の村上春樹が言って…
「ゴッドファーザーはpart2までが傑作!」 私はそう思っていました。 どんな映画好きの人に聞いても 「part3はないわ〜」 「ゴッドファーザーpart1とpart2は完璧! その次は微妙」 と言っていたのです。 ネット上の評価を見ても、part3だけは異常に評判…
「村上隆から記事がシェアされているよ」 つい最近、このような連絡が私のところに来た。 私は驚いた。 村上隆? あの世界的なアーティストの人か? どうやら私が昔書いた村上隆さんの本についての書評記事が本人の目に留まり、記事をシェアしてくれていたよ…
「沈黙だけは絶対に観に行きたい」 とある映画好きの集まりに参加した際、多くの人がこう言っていた。 「今年最初の映画は沈黙がいい」 「絶対に観に行きたい」 映画通の人ほどマーティン・スコセッシ監督の「沈黙」に期待しているようだった。 「あの予告編…
「僕は天才肌の人間じゃない」 NHKのとあるドキュメンタリー番組で浦沢直樹先生はそう言っていた。 浦沢先生といえば、現代を代表する売れっ子漫画家の一人だ。 20代で「YAWARA」を書き、日本中に柔道ブームを巻き起こし、 「MONSTER」や「20世紀少年」…
「この望遠鏡、どれくらいの重さがあると思いますか?」 私は目の前にある巨大な天体望遠鏡を見つめていると、係員にこう尋ねられた。 当時、中学生だった私は答えられるずにいたと思う。 直径10メートル以上ある巨大な天体望遠鏡のスケールに圧倒されてい…
「普通の名前だね」 私は大学の同級生にこう言われたことがある。 昔から私は「普通だ」と言われることがよくあった。 「普通の顔」 「普通の成績」…… 「普通」ということが私のコンプレックスだった。 人と同じように「普通の人間」と思われるのが嫌だった…
「人生、マイナスの出来事もあれば、プラスの出来事もある。 プラスの振り幅が大きい分、マイナスの振り幅も大きくなる。プラスマイナス0だ」 誰かがテレビで言っていた言葉だ。 いいこともあれば悪いこともあるという言い伝えが日本にはあると思う。 芸能…
「ナルトじゃん!」 私が東南アジアを旅していた頃、バンコクのデパートでナルトの看板を見かけたことがあった。 上の階にはアニメショップがあるようだ。 そこに行ってみると、多くのタイ人から欧米人がひしめき合っていてびっくりした記憶がある。 こんな…
「手ぶれでさっと帰る美学に憧れてて、この仕事しているようなところあるんですよ」 とある番組で松本人志が羽生善治のニュースに、このようにコメントしていた。 手ぶらでやってきて、さっと仕事だけして帰る。 そんな仕事の姿勢に彼は憧れているのだという…
「人を愛するということを大切にしてください」 歌手のYUKIがラジオの中でリスナーに向けて言っていた言葉だった。 私はとくにYUKIのファンというわけではなかった。 だけど、一時期YUKIのラジオの音源をよく聞いていた頃があった。 母性の塊みたいな彼女の…
「なんだこの満島ひかりは……」 火曜日の夜、ふとつけたテレビ画面を見て、私は衝撃を受けた。 ドラマの最後のシーンだったのだろうか。 私は最後の方しか見ていないのにもかかわらず、そのドラマに出ていた役者陣全員の演技力に圧倒されてしまったのだ。 画…
「天国と地獄だ」 赤い煙が燃え上がっている煙突を見て、青島刑事はこうつぶやいていました。 映画「踊る大捜査線」のワンシーンです。 私は小学校の頃、そのシーンを見て、 なんで青島刑事は煙突を見て「天国と地獄だ」とつぶやいたんだろう…… と思っていま…