ライティング・ハイ

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映画「わたしに会うまでの1600キロ」を観て、何かを変える人の本質に気がついた

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「なぜ、こんなに荷物が多いんだ」

私はとにかく荷物整理が苦手だ。

 

これもいる、あれもいると余計なものを詰め込んでしまい、バックがぎゅうぎゅう詰めになる。

 

自分は普段、営業の仕事をしており、外に出る機会が多いのだが、その時持っていくバックがやたらと重い。

 

自分ではこれくらいの資料を持ち運ぶのは普通だと思っていたが、周囲の先輩を見てみると、意外と案外スマートである。

自分なんてバックパックを背負っていく感覚でいつも外出している。

 

「なんでそんなに荷物が多いんだよ。詰め込みすぎだろ」

とよく言われる。

 

必要なものといらないものを整理できず、心配性なこともあり、

「クライアントの前でさっと資料を取り出さないとまずい。念の為この資料も持っていかなきゃ。あの資料も持っていかなきゃ」と思っているうちに、気がついたらとんでもない量になっている。

 

必要なものと必要でないもの。

それが整理整頓することが昔から苦手だった。

 

頭の中がだいぶぐちゃぐちゃなのかもしれないが、あれもこれもと考えていくうちに、いつもパンクしてしまい、やたらとノイローゼ状態になることが多い。

 

こないだも軽く頭がパンクしてしまったことがあった。

あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと消化しきれない仕事にあれやこれやと

忙しない一週間を送っていくうちに、だいぶ寝不足だったのか、その日はだいぶ疲れていた。

今日は飲みに行こうよと会社の上司に言われ、夜遅くまで飲んでいた。

飲むと言っても自分は昔から全く飲めない。

ビール一杯を飲んだだけで、だいぶ疲れていたのか帰りの電車の中で気持ち悪くなり、盛大に電車の中で吐いてしまった。

(近くにいた人、大変すいません)

 

普段はビール一杯ぐだいだったらなんともないが、その日はだいぶ寝不足だった。

いつも以上に電車の人混みに耐えられなくなり、気持ち悪くなってしまった。

その場に会社の上司がいたので、

「すいません」とひたすら誤りながら、後片付けをして家に帰った。

 

あ、だいぶ頭の中がパンクしているな。

毎日の仕事の量に没頭しているうちに、私の頭の中はだいぶぐちゃぐちゃになっていたのかもしれない。

 

ちょっと休まなきゃだめだ。

一旦、仕事や自分と距離を置かなきゃ。

やつれた顔をしながら何か映画を見ようと思い、TSUTAYAをぶらぶらしていると、とある映画が目に入った。

 

それはずっと観ようと思っていた映画だった。

だけど、観るきっかけが持てず、ずっと放置していた映画だった。

 

 

初めてこの映画のパッケージを見たときからずっと気になっていた。

バックパックを背負って、広大な大地を一人歩く女性の写真に、とても感化され、一度ちゃんと観てみたいと思っていた映画だった。

 

だけど、なぜだろうか。

旅の魅力を描いたこの映画はどこか麻薬のような気がしていて、社会人になりたての当時の私は、「まだこの映画は観るべきじゃない」ととっさに思い、観るのを躊躇していたのだ。

 

だけど、そのときは直感的にいま観ないといけない。

そう思った。

私はそのまま、レジにブルーレイを持っていき映画を観てみることにしてみた。

家に帰り、すぐにデッキにブルーレイを突っ込み、映画を観始めた。

 

映画が始まった瞬間、「あ、これは観なきゃいけない映画だ」

そう思った。

最初のオープニングショットからして、私は映画の世界に一気に惹き込まれてしまった。

 

バックパックを背負って、広大な砂漠の丘を駆け上がり、血だらけになった靴を脱げ捨てる女性。

足の爪先は充血していて、爪を剥がす動作は痛々しかった。

 

それでも傷だらけになった体を一歩一歩動かし、懸命に歩いていく。

一歩ずつ、一歩ずつ歩いていく。

その映画はパシフィック・クレスト・トレイルと呼ばれるメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸の1500キロ以上のコースが舞台になっている。

 

誰にも知られることもなく、一人ずっと孤独に歩いていく女性。

母親を亡くし、精神的にやつれて、すべてを捨ててまで、ひたすら歩く彼女。

旅に出るまでのエピソードを交えながら物語は進んでいった。

 

私は映画を観ているうちに、自分も昔こんな旅をしたことがあったので、少し懐かしくなってしまった。

 

 

人生が行き詰まり、約1500キロ以上のコースをひたすら歩くことを選ぶ彼女。

最初は自分の人生を見つめ直すきっかけが欲しかったのかもしれない。

だけど、過酷な旅を続けていくうちに、彼女の考えは変わっていく。

 

何が何でも目的地にたどり着く。

その決意が一歩、一歩と歩く中で生まれていったのかもしれない。

 

途中、雪山に阻まれても、諦めずに山を登っていく。

どこまでも続く荒野をひたすら歩く。

 

いつしか道中で旅人と出会うと励ましの声をもらうようになる。

 

「いろんな人からあなたのことを聞いたんです。あなたが残したノートが私の励みになりました」

 

旅の途中で人とふれあいながらもゴールを目指していく。

そんな姿を観ているうちに私は映画の世界にどっぷりと浸かってしまい、時間を忘れてじっと観てしまった。

 

最終的に約3ヶ月間の旅を終えて、彼女は目的にたどり着く。

 

私はこの映画を観ているうちにふと感じたことがあった。

 

何かを変えたいと思って彼女は旅に出ていた。

だけど、道中でいろんな人と出会い、いろんな人から尊敬されるようになったのは自分自身を変えたからだと思う。

 

自分が変われば、自然と周りに集まる人も変わってくるのだ。

自分が発する磁場に惹きつけられるかのようにして、ぐるぐると自分の人生を変えてくれるような人が現れる。

そんな人生の教訓をこの映画からなんとかく感じてしまった。

 

結局、この映画の主人公の女性はゴール地点で、新生活を始めることになる。

今では結婚して、子供にも恵まれ、あの旅で感じたことをエッセイとして発表し、今や売れっ子のライターだという。

 

旅を通じて、いらない荷物を一つ一つ整理していった彼女。

そんな姿勢にすごく感動してしまった。

 

私はだいぶ今、頭の中がぐちゃぐちゃだったのかもしれない。

いらないものを整理できず、忙しない日々に没頭するうちに、何がなんだかわからなくなってしまった。

 

何か自分を変えたいと思って、本や映画の世界に逃げ場を求めていた。

だけど、何かを本気で変えたいと思ったら、外に頼るのではなく、まずは自分自身を変えないといけないのかもしれない。

 

よく考えれば、今までで出会った人の中で、

常に世の中に発信していて、影響力がある人って、外に刺激を求めるのではなく、

まずは徹底的に自分を追い込んでいる人が多い気がする。

 

何がなんでもこれをやるんだ。

その決意が周囲に伝わっていって、自然と集まってくる人も変わってきたのだと思う。

 

自分を変えれば、周囲に見える景色が変わってくる。

そんなことをこの映画を観ているうちに感じてしまった。

 

映画「わたしに会うまでの1600キロ」

原題は「Wild」という。

 

何かを変えたいと思っている人にとって、とても励ましの映画になるのだと思う。