ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

「社会規範を守って!」というタイトルに惹かれて。

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先日、実にまずい映画を観た。

期待して観に行ったのに、何だこれはと正直舌打ちをしたくなった。

 

ま、有名な作品のリメイク版だから仕方ないよな。

だけど、あれだけ期待していったのに、なんでこんな作品になってしまったんだろう。

 

なぜ、こんなストーリー展開の映画が100億円もかけて作られたのか。

今の商業主義的な映画づくりに虫唾が走るのに加えて、実にまずいと思ってしまった。

あまりにも映画のストーリーが微妙すぎて、自分の感情も気分が悪くなってしまったのだ。

 

私は昔から自他ともに認める映画好きだ。

学生時代はアホみたいに映画を観ていて、年間350本以上観ていた。

一日6本くらい映画を観ても飽きないから不思議である。

 

社会人になって映画を観る時間は減ってしまったが、週に最低一本以上は映画を観るようにしている。

映画館に行くときは貴重な休日を無駄にしたくないと、映画の中のストーリーやコンテンツをすべて吸い尽くすかのようにして、無我夢中になって映画を観ている。

 

昔から面白い映画と出会うと壊れてしまう時がある。

最近だと、「この世界の片隅に」を観て、泣きすぎて、なぜかよくわからないが深夜の新宿を5時間ほど徘徊してしまった。

 

スター・ウォーズのスピンオフ作品「ローグ・ワン」を観たときは、エンディングの名もなき英雄たちが散っていく様を観て、号泣しすぎてしまい、新宿紀伊国屋を1階から8階まで、階段で5往復くらいしてしまった。

 

映画の世界にどっぷり浸かりきってしまい、観終わったら体が感化されすぎて、自家中毒症状みたいになることがたまにある。

 

面白い映画と出会えたときは幸福だ。

常に消えていってしまう感受性が潤っていくような感じ。

忘れてはいけない何かを感じる心。

 

子供の頃には持っていた懐かしい感じを思い出すかのようにして、夢中になって映画にかじりつきながら観ていた。

 

逆につまらない映画と出会うと最悪である。

映画の世界観にどっぷり浸かりきってしまう性格のため、つまらないコンテンツに影響されすぎてしまい、体調が悪くなる。

 

週の終わりにつまらない映画と出会ってしまうと、翌週の仕事のパフォーマンスにも影響が出てしまう。

 

先週は、期待はずれの映画を日曜日に観てしまった。

本当に期待していたのに、なんでこうなってしまったのかと思えるくらいだった。

まずい。

このままでは月曜日からの仕事に支障が出る。

そう思い、なんでもいいからいい映画を観なきゃと思い、TSUTAYAに飛び込むことにした。

 

今までだったら、自分がこれまで感銘を受けた映画を観れば済む話だった。

だけど、なぜか不思議と手にとってしまった映画があった。

 

なぜ、このタイミングで自分がこの映画を観ることになったのかよくわからないが、なぜか、気がついたらこの映画のパッケージが自分の手の中にあったのだ。

 

それはある実在するロックンローラーをモデルにした物語だ。

 

正直って、その歌手の名前は知らなかった。

アメリカだと誰もが知っている有名な歌手らしいが、音楽に疎い私は知らなかったのだ。

 

ま、今日は時間があるし、この映画でも観てみるか。

 

昼過ぎに観たつまらない映画の代用品として私はその映画を観た。

 

正直言って、何も期待していなかった。

ただの休日の暇つぶし感覚で観始めただけだった。

 

だけど、映画の物語が進むに連れて、その歌手がたどることになった数奇な運命に夢中になってしまった。

 

こ、この映画すごくないか?

オープニングからして驚いた。

 

あの有名な歌手が刑務所の受刑者の前にしてロックを歌うシーン。

 

なんだ、この映画は。

誰なんだ、この主人公は。

 

冴えない人生を送っていた彼は、ある人物との出会いを通じて、音楽の道に進むことになる。

その人物は後にエルビス・プレスリーを輩出するような名音楽プロデユーサーになる方だ。

 

初めは否定された。

流行に乗って、ゴスペラを歌っても名プロデユーサーの耳には届かない。

 

「トラックにはねられ 死ぬ前に1曲だけ歌う時間がある。
この世で君が感じたことを神に伝える曲。
それを聞けば君という人間がすべて分かる歌を歌え」

 

初めはただの暇つぶし感覚で観始めて映画だった。

だけど、観ていくうちに涙がこぼれてしまった。

 

それは家族が苦手で、不器用ながらも自分が理想とする家族を追い求める男の話だった。

運命の女性を射止めようと何度も不器用ながらもプロポーズを続ける男の話だった。

周囲の人を傷つけ、それでも懸命に生きていく。

そんな姿に私は感動してしまった。

 

 

私は映画を観終わったタイミングで、実在する彼のことを調べていった。

あのエルビス・プレスリービートルズボブ・ディランがロックの神として崇め、今なお多くのファンが根強くいるミュージシャン。

 

正直言って、私はそのミュージシャンのことをこの映画を通じて初めて知った。

だけど、彼の生い立ちや不器用な生き方などを、映画を通じて知って、どこか他人事のように思えなくなってしまった。

 

どんなにどん底に落ちようとも、かすかな光や周囲の人に支えられ、懸命に生きていく姿勢に涙なくして観れなかった。

 

人を傷つけ、自分を傷つけてまでも、彼は歌うことは辞めなかった。

 

「それを聞けば君という人間がすべて分かる歌を歌え」

若い時にとある人物にそう言われたことが彼の人生を大きく変えたのかもしれない。

 

家族が苦手で、不器用にしか生きられない人が観るのもいい。

人を傷つけることでしか自分を認められない人が観るでもいい。

 

きっと、50年台のカントリーミュージックの黄金時代を駆け上がっていったジョニー・キャッシュの自伝的映画「ウォーク・ザ・ライン」を観れば、きっと明日に生きる勇気をもらえるはずだ。