ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

人に選ばれるということ  

 

 

「どうしてこの人の周りにはいつも人が集まっているのか?」

何度かそう思ってしまう魅力的な人と出会ったことがある。

 

「どうして人が集まってくるのか?」

「どうしてこの人の近くにいると、また会いたいと思ってしまうのか?」

 

 

私は昔からマイナス思考の性格のせいか、常に人が集まってくるような人に憧れを抱いていた。

 

学生時代もいつもクラスの隅っこにいたせいか、クラスの中心にいる華やかな人にとても憧れていたのだ。

 

 

「なんでこんなにも人が集まってくるんだろう?」

 

学生時代にインタビュー記事を書くアルバイトをしていた頃もずっとそんな思いがあった。

インタビューする相手は大概が会社の経営者の人であったり、著名な方だった。

 

 

社会的にもある程度認められ、地位があるような人ほど、魅力的な人が多かった。

いつも笑顔を絶やさず、ニコニコとしていて、学生だった自分の主張もしっかりと聞いてくれる。

 

 

 

私は拙いながらもインタビューをして、相手の考えを必死に聞き取り、言葉にまとめていった。

 

 

インタビューで録音していたテープを起こしていると、いつもこう思ってしまう。

 

「なんでこの人はこんなに魅力的なんだろう?」

「なんで、また会いたいと思ってしまうのだろう?」

 

 

人に選ばれ、人から好かれる人に私は猛烈に憧れていたこともあり、

このインタビュー記事を書くアルバイトはだいぶ自分のためはなっていたのかもしれない。

 

自分も魅力的な人間でありたい。

人から好かれる人でありたい。

 

 

だけど、そんな考えもむなしく、人を小馬鹿にしている自分もいた。

 

私は就活の時には惨敗した。

 

その当時の私は、

自分には何か人と違ったクリエイティブな才能を持っている……

学生時代には自主映画も作ってきたし、マスコミでアルバイトもしてきた。

だから、電通博報堂みたいなちょっとクリエイティブな職業の人たちなら、

自分の魅力を気づいてくれる。

そう思っていた。

 

特に何かやりたいわけでもなかったのに、クリエイティブっぽい業界を探しては、受けては落とされまくっていた。

 

マスコミ用の何万字にも及ぶエントリーシートを書き、誰かに認めてもらえることに必死だったのだ。

 

何であの当時の私はあんなにも「誰かに認めてもらう」ことに必死だったのだろうか?

 

今思うと不思議だが、就活をしていた当時の自分は、人よりも上に立つ職業に就かなきゃと必死になっていた。

 

がむしゃらに就活をしては、同じ就活生を侮辱していた。

 

マスコミなどを受けていると、テレビ局などには全国を行脚している就活生が多数いる。

 

大きなスーツケースを持って、全国のテレビ局を受けまくるのだ。

民放キー局に入るため、みんな必死だ。

 

目の前の面接官にどうすれば認めれらるのだろうか?

どうしたら自己PRで周囲と差をつけられるのか?

私はそんな就活生を横から見ては、傍観者の目線を持っていたのだと思う。

 

こんなにがむしゃらになっても、倍率が1000倍だから受からないだろう……

 

自分もとことん落とされまくっていたのに、自分ならどこかの誰かが認めてくれると思って、傍観者の目線でマスコミ就活を眺めていた。

 

結局、そんなどこか他人事の目線を持っていた自分を雇ってくれる企業はなかった。

 

どうして誰も自分を認めてくれないのか。

就活をしていた頃、大量のお祈りメール(不採用通知)が飛んできた時は、そう思っていた。

 

 

誰か自分を認めてよ。

自分の中で承認欲求が膨れ上がり、私は身動きが取れなくなっていた。

 

 

月日が経ち、就活の恨みも消えてくると、

あの当時の苦しみは一体何だったのか? とふと思うことがある。

 

あの頃はとにかく私は人に認められることに必死だった。

 

人に認められることって一体何なのだろうか?

人からまた会いたいと思われるような魅力的な人って一体何なのだろうか?

 

 

そんなことを思っている時、この本と出会った。

NHKの朝ドラで話題になった「暮らしの手帖」の元編集長である松浦弥太郎さんが書いたエッセイ「センス入門」である。

 

 

本屋さんでこの本を見かけた時、ふと帯に書かれた言葉に目がいってしまった。

 

「仕事も人生も、ある程度先へ行くには「センス」が必要だ。

 

 

 

確かになと思った。

 

写真も文章も、または会社経営でも、

ある程度数をこなしていくと、どうしても本人の「センス」というものが出てくる。この「センス」というものが一番の差になってくるのだと思う。。

 

もはや、才能というか「センス」を磨こうとしてもなかなかできるものではない。

 

生まれつき写真が上手い人がいる一方、会社経営が得意な人がいる。

 

 

昔から周囲に認められる人は、人が常に集まってくる「センス」というものが体に染みついているのかもしれない。

 

私はふと、この帯が気になって読みふけってしまった。

 

 

読んでいるうちに心がじんわりときた。

 

ずっとずっと自分が悩んでいた「人に認められること」について

書かれていたのだ。

 

人から選ばれることのコツ……

 

それは人を認めることです。

 

 

大概人から選ばれない人は、人を認めていないケースが多いという。

自分はこう思うから、この考えは正しい。

相手と自分の考え方は違うと雁字搦めになり、人の考えを聞かないのだ。

 

 

つまり、人から選ばれたいと思っている人ほど、人に選ばれないという。

 

私はハッとしてしまった。

 

確かにその通りだと思った。

 

 

私は人から選ばれたいと思い、自分の邪魔なプライドに雁字搦めになり、私は身動きが取れなくなっていたのだ。

 

人と会う時も相手の悪い面ばかりを見て、この人とは気が合わないと思い、すぐに関係を自分の方から絶っていた。

 

 

 

人から認められ、周囲から愛される人ほど、相手の良い面を見つめている。

相手の良い面を見つめて、相手を認めているのだ。

 

 

就活をしてから2年近く経ち、あの頃の苦しみを思い出すたびに、

当時の自分は何事もわかっていなかったなと思う。

 

ちょっとずつ、社会に出てはいろんな挫折を味わっていくうちに、心の奥底にあった「何者かになりたい」という気持ちも消えていった。

だけど、この「何者かになりたい」という感情が消えたおかげで、自分にとって大切なものが少しずつだけども見えてきた気がする。

 

 

人に好かれたかったら、人を認めること。

就活をしていた当時の自分には到底わからなかったことだ。

 

これからはどんな人に会う時もなるべく相手のいい面を見つめていきたいと思っている。