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ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

就活に失敗した私がGReeeeNの映画「キセキ あの日のソビト」を涙なくして見れなかった理由

映画

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「なんで私ではなくて、あいつが選ばれるんだ」

大学の同級生で大手企業に受かった人を見て、私は劣等感に包まれていた。

私は大学4年生の時、就活というものをしていた。

 

前評判で「就活だけは一筋縄ではいかない」

「人生最大の嘘つき大会だ」みたいなことをよく聞いていた。

 

テレビのニュースでも3月の就活解禁とともに、リクルートスーツを着た集団が、一列に並んで企業の採用説明を聞いているのを私も見ていた。

なんだかよくわからないけど、就活というものは大変なんだなと思っていた。

 

ま、自分はどこかの会社に受かるだろう。

そんな風に就活に対し、あまい考えを持っていた。

私はどこか傍観者の目線になっていたのだ。

 

大学時代には死ぬほど映画を見て、自主映画を作って、人一倍クリエイティブな自分であろうとしていた。

 

「君は人と違った素質を持っている」

「人と違った考えがあって面白いね」

電通博報堂のクリエイティブっぽい人にそう言われたかったのだ。

 

私は倍率1000倍を誇る民放キー局などのテレビ局を受けていった。

大手広告代理店などマスコミもに受けた。

 

人生をかけたマスコミ就活となると、就活生は皆全力で面接に挑んでいく。

本気でテレビ局に受かりたい人など、エントリーシートを100枚くらい書いて、全国のテレビ局に送り、全国を行脚していた。

テレビ局の面接となると、いつもスーツケースを持ち歩いている人を多く見かけた。

 

「今日は東京の〇〇局を受けて、明日は名古屋の〇〇局の第一次面接を受けに行きます」

 

交通費だけでいったいいくらになるんだ……

なぜ、そこまでテレビ局にこだわるんだと私は思っていた。

 

「ずっとマスコミで働くのが夢だったんです。だからマスコミに強い早稲田に入りました」

スーツケースを抱え、全国を行脚している組は、どこの集団面接でも全力で挑んでいた。そんな彼らを見て、私はノリでテレビ局を受けている自分が恥ずかしくもなった。

 

あんなに受けても、内定が出て入る会社は一つじゃん。

そこまでしてマスコミにこだわる必要があるのかな……

私は心のそこでそんな風に思っていた。

 

私はマスコミ対策本などを読んで、早めから就活について勉強し、自分なりのエントリーシートを作成していた。

就活セミナーの無料面接対策講座を受けて、集団面接の注意点なども学んでいった。

大学の学生相談室にもエントリーシートを持ち込んで、採点してもらったりした。

 

これだけ努力したんだ。

まぁなんとかなるでしょ。

 

そう思っていた。

 

 

 

しかし、結果は惨敗だった。

 

集団面接はなんとか通過するも、個人面接でいつも落ちた。

周囲の人は皆必死になって、その企業の魅力を語っていたと思う。

 

私はというと……とくに行きたい企業などなかったのだ。

 

ただ、大学の同級生に「〇〇局から内定が出た!」と自慢したかっただけなのだと思う。

働けたら華やかでかっこいいからという理由でマスコミを受けていたのだ。

 

私は常に「自分は特別なものを何か持っている」と思い込んでいたのだ。

皆が必死こいて就活をしている中、常に傍観者の目線になっていた。

 

そんな自己陶酔に陥っているやつを雇いたいと思ってくれる会社があるはずがない。

私はほとんどの企業から不採用通知が飛んできた。

 

就活後半戦になると落ちることが普通になって、就活自体に対し、嫌気がさしてきた。

単位のため週に何回か大学に行っていたが、4年生の授業に出ると周囲では就活の話題で持ちきりだった。

「あいつ商社受かったらしいよ」

「ゼミの友達がテレビ局受かったって」

「俺、〇〇商社から内定出た」

自分が受かった企業の名を自慢し合うのが日常になっていた。

私はそんな彼らを見ていて、後ろめたい気持ちになっていた。

 

なんで私じゃなくて、あいつらが選ばれるんだ。

なんで誰も私を必要としてくれないんだ。

そんなことを思っていた。

 

就活で不採用通知がバンバン飛んでくると、なんだか自分は社会から必要とされていない人材のように思えて、私は苦しくなっていた。

 

エントリーシートの自己PRを考える時も、自分の特技は一体なんなのか必死に考えて、自分を掘り下げていったものの、空っぽな自分に気づいて虚しくなるだけだった。

 

私の居場所は一体どこなんだ?

そんなことを常に感じていた。

 

結局、私はとある制作会社に内定をいただき、就活を終えることができた。

就活はいちよ終わったが、このままでいいのかという不安があった。

 

私はただ人に自慢できるような会社に入りたかっただけなのだ。

しかし、結果は惨敗だった。

私は自分なりに必死こいて就活をしていた。

しかし、ボロクソに落ちた。

 

どんなに努力してもダメなものはダメなんだなと思った。

倍率1000倍を超えるテレビ局から内定を出るような人はどこか人とは違う特別なものを持っているんだ。

 

自分は選ばれなかった方の人間なんだ。

そう思い、私は劣等感に包まれ、ほとんど大学にも行けなくなっていた。

 

結局、私は内定先に就職することにした。

 

今思うと就活を通じて私が体感したことは……

「物事はなるようにしかならない」ということだった。

 

同じ大学を出ていて、同じような顔つきの人がいても、ケロッと大手企業に受かる人もいれば、何回チャレンジしても受からない人がいる。

 

こればかりは努力でどうにかなる問題ではないと思う。

 

就活の場合、ほとんどが面接官との相性で内定が出るか出ないか決まってしまうため、

受験の時のように努力すればどうにかなる世界ではないのだ。

 

私はマスコミに受かりたいと思って、何十社と企業を受けていた。

しかし、ほとんど受からなかった。

 

当時の私は自分がやりたいことと社会が求めているものとのギャップにもがき、苦しんでいたと思う。

 

大学を卒業したのちに入った会社でも常にその気持ちを抱えていた。

ここは自分の居場所ではない。もっと他に自分の個性を伸ばしてくれる場所があるはずだ。そんなことを思っていた。

 

結局私はあまりにもブラックだという理由で会社を辞めてしまった。

転職活動をしながら世の中をさまよい歩いた。

 

自分の居場所は一体どこなんだ?

私は常に浮足立っていたのだと思う。

 

そんな時、つい先日GReeeeNの映画を見た。

音楽に疎い私でもGReeeeNぐらいは知っていた。

歯医者をやりながら、音楽活動もしている覆面アーティストだ。

仕事に支障が出るからという理由で、今まで一切顔を出したことがない。

 

私はそこまでGReeeeNのファンというわけではなかったが、土曜日時間が空いていたのでレイトショーで見てみることにした。

公開から1ヶ月以上経っているのに、レイトショーが混んでいて私は驚いた。

ほとんどが20代だった。

やはり、GReeeeNの歌声に皆惹かれてるのか。

 

上映が始まった。

 

私は驚いてしまった。

 

 

ほとんどGReeeeNの物語ではないからだ。

GReeeeNを育てたボーカルHIDEの兄さんJINの物語なのだ。

兄のJIN役には松坂桃李が演じていた。そのJIN役の人に私は感情移入して見てしまっていたと思う。

 

医者である父親に反発して音楽の道を志した兄のJINは自分の才能の限界を感じて挫折してしまう。そんなJINだったが、弟の歌声の魅力に気づき、弟の才能を伸ばすべく悪戦苦闘する話なのだ。

 

兄はレコード会社などに頭を下げ、弟のグループを売り込んでいく。

自分ではなく、弟の方に音楽の才能があったことに気づいたのだ。

 

「人はそれぞれ役割を持って生まれてくるのかもしれない。そんな役割にようやく俺は気づけた」

 

ミュージシャンになる夢を諦め、弟の才能を伸ばすという役割を見出だした兄の姿に私は心動かされてしまった。

 

もちろん映画だから、ある程度は脚色しているだろう。

しかし、歯科大生が作った曲がオリコンチャート1位になったのは事実だし、ボーカルのHIDEの兄であるJINがGReeeeNのプロデュースを担当しているのは事実なのだ。

 

私はただ、自分がやりたいと思うことを探していたのだと思う。

就活の時も自分が入りたいと思う会社ばかりを受けていた。

自分が人に自慢できるような会社のブランドを追い求めていたのだ。

 

ずっと自分がやりたいと思えるようなことを探し求めていた。

しかし、やりたいことではなく、自分がするべき役割というものがきっと世の中には

転がっているのかもしれない。

 

社会人経験がほとんどない私には、まだ自分がすべき役割というものがあまりわからない。しかし、きっといつか気づくのかもしれない。

 

弟の歌声を全国に届けることに意味を見出した兄のように。