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ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

マッキンゼーのエリートが使う方眼ノートを見ていたら、スピルバーグ監督が25歳の若さで映画「激突!」を撮れた理由がわかった

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「読めない」

自分が書いたノートを見直してはいつもそう思っていた。

私はとにかく字が汚い。

その上、ノートに板書をまとめるのが下手くそだった。

 

高校受験や大学受験で予備校に通っている頃は、ノートで苦労した。

いくら頑張って先生の講義を聞いても、ノートにまとめきれなかったのだ。

 

黒板の板書がうまい先生ならまだしも、話は面白いけど、板書をほとんどしない先生に当たると私の脳みそはパニックを起こしていた。

授業内容をノートにまとめきれないからだ。

 

黒板に板書をしていく先生の授業は、板書をノートに書き写すだけでいい。

しかし、書き写すだけで自分の頭に入っているわけではない。

 

ノートはその人自身の思考回路を表すといわれている。

頭がいい人はとにかくノートを書くのがうまいのだ。

 

ノート作りは大人になってからも度々、私が抱える問題に浮上していた。

私が最初に入った会社も、上司の言うことをノートにまとめきれず、苦労した覚えがある。毎日のように、やるべきリストを指摘され、ノートにまとめていっても、どこから手をつけ、どのような時間配分で仕事に取り組むべきなのかわからないのだ。

 

3つ4つの仕事を頼まれても、要領が悪い私は、基本的に一つのことにしかできない。

取り組むべき仕事が山ほどあると、脳みその中でまとめきれず、パニックを起こしてしまうのだ。

 

物事をどうまとめていけばいいのだろう?

情報をどう整理してばいいのか? そう悩んでいた。

 

ある日、行きつけの本屋で本を立ち読みしていると、こんなタイトルの本が目に入った。

「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」

 

あっ! 

それは私が長年悩んでいたノートの作り方に、解決策を教えてくれる魔法の本のように思えた。

 

私はとにかく物事をまとめるのが苦手だった。

そんな自分を変えてくれるように思えたのだ。

 

私は早速、本を購入し、カフェにこもって読んでいくことにした。

 

なるほどな。

なるほどなと思った。

 

マッキンゼーで働く人は、入社すると一つの方眼ノートを渡されるらしい。

入社するとともに渡られるその一冊の方眼ノートの皆大切に使うという。

尋常じゃない量の仕事量を整理し、一つ一つ確実にこなすには、方眼ノートが欠かせないのだ。

 

なぜ、マッキンゼーやボスコンで働くトップエリートは方眼ノートを使うのか?

それは方眼ノートの方が情報をまとめやすいからだ。

縦横全て線で仕切られているため、「事実」「解釈」「結論」の三つの事象にまとめることができるのだ。

トップエリートたちは、仕事内容の「事実」や「解釈」だけでなく、自分が取るべき「結論」までノートに書き記すという。

 

ノートはその人の頭の中を記す、いわば「第二の脳」だ。

ノートを見れば、その人が仕事ができる人間か、できない人間かわかってしまう。

 

私は自分のノート作りを反省するとともに、その本の中に書いてあった、

あることが気になった。

それは映画用のストーリーボードでも使えるという、あることがまとめた箇所だった。

 

 

「10リットルの血糊をばらまく」

私はそう宣言して、ゾンビ映画作りに熱中していた。

学生時代には、私は自主映画サークルに所属していて、自主映画作りに熱中していた。多くの人を巻き込んでは映画を作っていた。

その中でも一番、思い出に残っているのは約4ヶ月以上かけて撮りきったゾンビ映画だった。

 

学生映画でホラーは難しいと言われている。

まず、血糊をばらまく場所がない。カメラの性質上、暗闇での撮影が困難でもある。

しかし、私はゾンビ映画を撮ってみたかったのだ。

子供の頃から映画が大好きで、映画小僧だった私は特にホラーパニック映画にはまっていた。

「エイリアン」や「羊たちの沈黙」は何回も見た。

そのような人々をハラハラドキドキさせるパニック映画を作ってみたかったのだ。

 

大学三年生の頃、学生生活最後に、私は以前からずっとやりたかったゾンビ映画に着手することにした。

脚本は「エイリアン2」の構造を分解して自分なりに組み立ってていった。

 

ゾンビメイクはどうしたかというと、ネットで調べて、自分なりのオリジナルメイクを作っていった。

意外とゾンビメイクは簡単にできるのだ。

ティッシュを頬につけ、アイシャドウを塗りつぶし、二重のりでミルフィーユ状に重ね合わせていくと、ゴワゴワした肌触りの焼きただれた跡のようなメイクができる。

 

そのゴワゴワしたティッシュの上にはちみつと食紅で作った血糊を塗れば、100円均一グッズだけで作ったゾンビメイクの完成である。

 

ゾンビの服はどうしたかというと、古着屋に飛び込んで30着ぐらい用意した。

 

いろんな人に声をかけ、約40人の方々の協力のもと、私はゾンビ映画を作っていった。ゾンビエキストラだけでも20人近くの人にお世話になった。

 

撮影を開始すると、私はとんでもないことを始めてしまったと後悔することになった。

まず、血糊の量が尋常じゃなかった。

 

ゾンビに襲われるシーンを撮るのに、役者のゾンビメイクだけでも1時間以上かかった。メイク用の血糊や撮影の時に使う血糊も合わせ、毎回1リットル以上の血糊が使われていた。

バケツ一杯分の血糊を撮影前に用意していたのだ。

 

撮影場所も利用時間が限られていたので、早撮りするしかなかった。

昼に撮影してしまうと、映画全体のトーンが崩れてしまうため、夜しか時間を使えなかった。ゾンビメイクの時間などを考慮すると、一回の撮影で使える時間はおよそ3時間だった。

そのわずか3時間のあいだに、数カット撮らなければならない。

 

私はどうすれば早撮りができるのか考えていった。

役者の顔アップだけ別日にとって、ゾンビの襲撃シーンだけを詰めて撮っていく方法なども考えた。

 

しかし、役者のスケジュール調整やメイクの準備など、監督としてやることが山ほどあり、私の頭はパンク状態だった。

撮影スケジュールをまとめて香盤表をきちんと作成できなかったのだ。

どうすれば、撮影スケジュールをパッとまとめて、きちんと映画全体を把握できるのだろうか? そう思っていた。

 

撮影が進むにつれ、いろんなところから苦情が出てきた。

まず、撮影で使わせていただいた施設から怒られてしまったのだ。

「君たちが使った後、床に残っていた赤い塗料はなんだ?」

と呼び出しをくらってしまった。

 

もちろん、その正体は食紅とはちみつで作った血糊である。

 

「え〜と、撮影スタッフの人で鼻血が止まらない者がいまして……」

そんなことを言って、私は言い逃れをしていた。

(今思うと、なんと無茶苦茶なことを言ったものか……)

 

ゾンビ映画の撮影が進むにつれ、私の脳みそはパンクしていった。

四六時中、映画のことを考えなければならないのだ。

どうしてもゾンビ映画を作ってみたい!

そう思っていたが、ここまで大変だとは思わなかった。

 

そんな時に私は一旦、思考をリセットするためにもある映画を見ることにした。

それは「激突!」だった。

 

「激突!」は天才スティーブン・スピルバーグ監督が25歳の若さで監督した

デビュー作に近い映画だ。

 

私は「激突!」をはじめて見たときは、本当にぶったまげた。

ただ、殺人トラックが追いかけてくるだけなのだ。

それなのに異常に怖い。

ありふれた日常が一変し、執拗に殺人トラックに命を狙われる平凡なサラリーマン

の死闘を描いた文句なしの傑作だった。

 

私は自分が作っていたゾンビ映画のサスペンス演出の参考にと思い、

「激突!」を見直すことにした。

 

やはり「激突!」は何度見ても面白い。

何度見ても、ハラハラドキドキする。

 

私はスピルバーグの音声解説が収録されている特典映像を見ていった。

それには若き日のスピルバーグがどのようにして「激突!」を撮っていったかが解説されてあった。

撮影当時、スピルバーグは「10日間で90分のテレビ映画を作れ!」と上司に言われたらしい。

90分の映画をわずか10日間で撮影しなければならないのである。

普通だったら1ヶ月はかけるところを、若さゆえに生意気と思われていたらしく、

「10日で撮れ!」とスタジオ側に言われてしまったのだ。

 

もちろん、その当時は反論するだけの力を持っていなかったスピルバーグは、無理だとわかっていても仕方なく、短時間で「激突!」を早撮りすることにしていった。

 

彼が真っ先にやったことは、ロケ中に泊まっていたモーテルの壁一面に地図を書き込むことだった。

殺人トラックとの死闘が繰り広げられるハイウェイ全体の地図を書き上げ、

どの場面でどのようなシーンを撮り、どう演出していくかを、パッと見ただけで全体が網羅できるように地図に書き込んでいったのだ。

 

撮影している中でも、何か問題が起こったら、毎回モーテルの壁一面に張り出された

地図に立ち返っていたという。

 

撮影すべき要点をまとめ、情報を整理した地図が当時25歳だったスピルバーグを支えたのだ。

 

私はこの音声解説を見ながら、自分のゾンビ映画作りにこの地図のやり方を活かしていった。自分の家の壁一面に今日撮るべきシーンをまとめた付箋を貼り、撮影プランをまとめた紙を貼り付けたのだ。

 

撮影が終わると同時にその付箋を剥がし、次はどのシーンを撮るべきなのか?

どういったシーンを撮るべきなのか? を考えていった。

 

私は常に全体像を見渡せるような壁紙を作っていった。

その効果もあり、撮影当日は以前よりもスムーズに進行できたと思う。

撮り忘れなどを減らし、要点をまとめながら撮影が進行できたのだ。

 

なんとか私は4ヶ月以上かけて約40分のゾンビ映画を撮り切ることができた。

途中、度重なる重圧と情報量で頭がパニックになり、死ぬかと思ったが、

「激突!」を撮った頃のスピルバーグがやっていた地図を参考にしながら、なんとか

撮影を終えることができたのだ。

 

 

私は「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」を読んでいたら、若き日のスピルバーグの姿を思い出していた。

彼は「10日間で撮り終えろ!」と言われ、早撮りするために、壁一面に地図を書き、撮影すべきシーンをまとめていったのだ。

パッと見ただけで全体像が一望できる地図を作っていったのだ。

それはマッキンゼーやボスコンで働くトップエリートたちが、度重なる情報から必要なものだけを取捨選択をして、すべてをパッと見ただけで情報を把握できる方眼ノートを大切に作っているのと同じなのだと思う。

 

トップクリエイターたちは、とにかく情報をまとめるのがうまいのだ。

それはコンサルや映画監督をはじめ、どのジャンルの人にも言えることだと思う。

 

情報を整理し、要点をまとめて、全体像を把握する。

それが世界に通じるコンテンツを作る鍵なのかもしれない。

私は多くの人を魅了するコンテンツを作れるクリエイターになりたいと思う。

そのためには、この本に書かれてあったように、情報を整理し、要点をまとめるノート作りを大切にしなければいけない。

そう思ったのだ。