ライティング・ハイ

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「君の名は。」は本編では泣けなかったが、ノベライズ本で号泣した理由  

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「直感を信じて」

そんな言葉をとある有名な起業家が投げかけていた。

 

「世の中の雑音に惑わされるな。自分の心の声に従え」

自分もそこまで信仰深い性格ではないと思うが、わりと昔から直感を大切にするタイプだった気がする。

 

高校受験もそうだし、大学受験のときも、テストの問題を解いているときに直感的に降ってくるのだ。

「あ、この大学受かった」と。

 

テストの相性というのもあるだろうが、なぜか受かる大学は、

キャンパスに入った瞬間、直感的にわかった。

 

なぜかはよくわからない。

就活の時も転職の時も最終的に会社を決めたのは完全に直感だった。

昔から思い悩んだら感覚的なものに突き動かされて物事を決めていた気がする。

 

あの嫌で嫌で仕方なかった就活も時が経つほど懐かしく思えてきた。

いろいろあったが今は社会人として社会の歯車に必死になって、働いている。

 

毎日、夜遅いが、なんとか仕事にしがみついている毎日だ。

営業先の大企業に行くと、よく就活生の顔を見かける。

そういえば、10月情報解禁だから、説明会とかはこの時期からあるのか。

 

というか、自分が就活してから3年近くの歳月が経つのか。

そんな時間の速さに驚きつつ、その日はわりと朝に時間があったため、営業先の最寄り駅から就活生の姿を眺めていた。

 

スーツを着ていても、就活生とわかるものだ。

社会にまだ出ていなく、どこか大人と子供の香りを漂わせている感じ。

生き生きとしつつも、将来の不安を感じているのだろうか。

 

スマホで説明会の詳細を確認しながらエントリーシートをチェックしている人がたくさんいた。

そんな就活生の人混みを見ているとなんだが懐かしくなってしまった。

 

就活の時を思い出すと、本当に苦痛しかなかった気がする。

とにかく自分の人生がわからなかった。

どっちに向かっていいのか本当にわからなかったのだ。

 

大量のエントリーシートを書いては、自己分析と称して、自分の掘り下げを行ったりしていった。

じぶんをいくらほっても空っぽな存在に気がつくだけd。

 

自分っていったい何なのか。

自己実現しなきゃ。

自分の承認欲求を満たせるような、やりがいのある職業につかなきゃ。

そう思って、ずっとずっと空回りばかりしていた気がする。

 

大企業を受ける人なら、たぶん受かる人が入る分、落ちる人がいる。

内定をもらえるしっかりとした理由もなく、落ちる理由もない。

 

一度、就活を経験すると、なんで日本の就活はこんな意味わかめな感じなのだ

と誰しもが思うだろう。

ま、社会の仕組みというか就活のルールがそうだから仕方ない。

 

悪戦苦闘しつつ、なんとか今の会社に入ることが出来、忙しない毎日を送っている。

 

もう、本当に就活で苦しんでいる事自体を忘れてしまうくらい、笑えるくらい死ぬほど働いている。

 

就活していたころは、

社会にでることは負けだ。

社会の歯車になることは恥ずかしい。

サラリーマンなんてかっこ悪い。

 

とそんな呑気なことを思っていたが、実際に自分がサラリーマンをやってみると、社会に出るってこんなにも大変なことなのかと驚いてしまった。

 

毎日、スーツという戦闘服を来て、営業先を飛び回り、競合先と戦う毎日。

「ビジネスって銃なき戦場だ」と聞いたことがあるが、本当にそのとおりだった。

 

社会の仕組みに翻弄しつつ、悪戦苦闘しつつ、仕事に熱中している毎日である。

気がついたら就活の時に悩んでいた自分も忘れてしまった。

 

なんであのとき、自分は将来についてあれほど悩んでいたのだろうか。

毎日の仕事に没頭していると、何かそれはそれで大切な何かを忘れていっている自分に気がついた。

 

どこか自分が何者になるのかわからずにモヤモヤしていた時期が懐かしくも思えてきた。

今思えば、その時期ってとても大切で愛おしいものだったんだな。

当時は自分が一体何をやりたいのかわからずにモヤモヤしていて、生きづらさを抱えていたが、そんなことも今となっては懐かしい。

 

 

そんなとき、ふとこの本を開いた。

なぜか自分の本棚の奥底にしまってあったノベライズ本だった。

 

映画「君の名は。」を見た人も多いと思う。

 

二年ほど前にメガヒットした新海誠監督のアニメ映画だ。

正直、当時はなんでこんなにヒットするの? と思っていた。

映画館の中では号泣する人でごった返していたが、自分はどうしても映画で泣くことが出来なかった。

 

 

だけど、帰り道によった本屋で、このノベライズ本と出会って、この本で号泣する事になった。

 

このノベライズ本は映画「君の名は。」のサイドストーリーを集約したものだ。

多分、映画本編から弾かれてしまったストーリーを出版したものなのだろう。

 

気ままに本を買って、読んでみた。

映画の余韻に浸っていたせいか、面白く読めた。

そして、最後の章を読んで、涙が止まらなくなってしまった。

 

それは、主人公の三葉のお父さんの物語だった。

三葉のお母さんになる人とどのように出会ったのか。

 

そして、なぜ町内会の議員になったのか。

なぜ、大惨事が起きるあの日、あの場所に彼は立っていたのか。

彗星のように流れ去っていくかのように何かに導かれるまま、あの時、あの場所に立っていたのだ。

 

その理由を知った時、たぶん映画で感動した以上の思いが、湧き出てくるかもしれない。

 

「物事はあるべき場所におさまる」

本の中にはその言葉が繰り返し書かれてある。

 

自分はずっとその言葉が脳裏に焼き付いて、ずっと離れなかった。

 

仕事をしながら就活生を見ていると、昔の自分を思い出しているようで懐かしくなる。

たぶん、暗闇の中をもがきながら走り回っているうちに何か見えてくるものもあるのだろう。

 

自分の決断で、人生を突き進むのもありだし、何かに漂って、どこかにたどり着くこともあるだろう。

 

仕事をしていて、辛いことなんで死ぬほどあるが、そんな時もいつも心の奥底でこの言葉を拠り所にしている自分にふと気がついた。