ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

残業が80時間を超えていた私が見つけた「週4時間」だけ働くということ

 

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「また人身事故か……」

途方に暮れているサラリーマンを目の前にして、私自身もどうしようかと困惑を隠せなかった。

今、このタイミングで人身事故が起きたら困る。

なんで朝に会議があるタイミングで人身事故が……

不謹慎だとはわかっているが、どうしても「なんでこのタイミングなの」と思ってしまった。

 

 

目の前に座る外国人は驚いているようだった。

スーツケースを抱えているので、ついさっき成田空港とかにたどり着いたのであろう。

日本に着いた途端、人身事故に巻き込まれたのである。

日本の第一印象としては最悪だ。

 

「ね、日本人って本当に奴隷のように働かされているの?」

どうやら同席している通訳さんにこんなことを聞いているようだった。

「毎日、残業させられて死んだ目で働いているのかしら。貴重な時間を、仕事だけに使うなんてもったいない」

 

日本についたばかりの欧米人に、いきなり質問攻めされ、ガイドをしている人はとても困っているようだった。

 

私はそんな、日本人の働き方に困惑を隠せない外国人のグループを見ていて、とても考えさせられてしまった。

 

確かに欧米の人から見たら、日本人の働き方は異常だよな……

 

欧米では一般的に定時退社が当たり前だ。

9時出社で定時の6時には退社し、家族と夕食のひと時を過ごすのが一般的だ。

 

夜の10時過ぎまで会社に残り、残業をするのが当たり前な日本人の働き方は、確かに欧米の人たちから見たら異常だろう。

 

「なんで日本人はそんなに働くんだ。鬱になって飛び降りるくらいなら、働かなきゃいいだろう」

そんなことを目の前にいる外国人はガミガミと通訳さんに話していた。

 

確かにその通りかもしれない。

だけど、日本人は働いてしまうのだ。

 

私はもともとテレビ関係のADをやっていたので、明け方も4時まで仕事をするのが当たり前な環境にいた。

(さすがに体を壊し、すぐに辞めてしまったが)

 

次に働いている会社でも、なんだかADをやっていた名残があるせいか、上司に「早く帰れ」と言われても、ずるずると終電近くまで残ってしまう。

 

新卒で入った会社がハイパーブラックだったせいもあって、残業が多くても家できちんと寝れる今の職場は、自分にとってはとてもホワイトに思えてしまうのだ。

だけど、私の同期たちはどうやら残業をするというのが、どうも苦手らしい。

 

定時の6時になったんだから、帰ってもいいでしょ。

そんな感じでなるたけ早く帰るために、全力で仕事をする。

 

上司の人は「今の若いもんは定時になったからといって勝手に帰ってしまう。自分が若い頃は終電まで働くのが当たり前だった。働き方改革と言われているし、下手に文句を言うとパワハラ扱いされるから怖くて叱れないよ」

そんなことを私にぼやく上司もいた。

 

 

自分も薄々感じていたのだが、やたらと最近騒がれている「働き方改革」の流れを受けて、実際に働いている現場は軽く混乱状態にあるみたいだ。

 

残業は良くない。定時には帰ろう。

 

そんな社会的な風潮のため、仕事もろくに終わっていないのに、勝手に帰ってしまう若者がとても多く、上司は困惑しているようだった。

 

「文句を言おうにも、社会がそういう流れだからな」

 

ももちろん残業などせず、さっさと帰って家で映画でも見て過ごしたい。

だけど、社会人として仕事もきちんと終えずに定時だからといって帰ってもいいという風潮はどうなのか? と少し考えてしまう。

実際、自分のような社会人1年目がそう感じているのだから、上の世代の人なんてもっと働き方の変化に困惑しているのかもしれない。

 

残業は良くないからといって、山のようにある仕事をいつ片付ければいいんだ?

休日に家でやるしかないだろう!

そんなことをぼやく上司もいた。

 

 

なんだろう、この違和感。

日本人が言う働き方改革って、本当に改革になっているのだろうか?

 

そんな違和感を覚え始めていたこの頃、この本と出会った。

「週4時間だけ働く」

毎週80時間以上働いていた起業家が、週に4時間だけ働くようにしたら、売り上げが4倍に増えたという逸話を本にまとめたベストセラーだ。

 

最初は、週に4時間だけ働けばいいというフリーランス向けの本かと私は思っていた。

しかし、違うのだ。

決して、楽して稼ごうとすることを謳った本ではないのだ。

 

 

この本は「生産性」について描かれている本だった。

 

 

朝8時半から6時までの定時まで、会社の中にいなければいけないという固定観念が世の中にはある。

しかし、定時の6時まで会社にいて、あなたはいったいいくらの利益を会社にもたらしたのだろうか?

 

生産性の観点からしたら、定時までの時間に会社のパソコンの前に座っていても意味がない。利益を確保できることが分かった時点で、家に帰った方が、人件費の削減にもつながる。何より会社員をやる上でのストレスが極端に減るというのだ。

 

私も一度経験があるのだが、仕事をする上で抱えるストレスは、失恋した時の約50倍はダメージがくる。

自分と合わない会社にもし入ってしまったら、尋常じゃない量のストレスが本人に降りかかってくるのだ。

本当に病んでしまい、自殺未遂する人も出てきてしまう。

 

ところが仕事が嫌で嫌で仕方がなくても日本人は辞めれないのだ。

 

3年以上勤めないと転職で困る。

我慢して働かないとダメだ。

 

そんなことを思ってしまい、ずるずると精神が病むまで、会社に居座ってしまうのだ。

私も昔はそうだった。

とことん働きてぶっ倒れて人身事故を起こしそうになってしまった。

 

 

この本を読んでいるうちに、日本人の働き方、特に生産性についてとても考えさせられてしまった。

 

毎日いやいや6時まで仕事をするのだったら、必要な箇所だけピックアップして、週に4時間だけ集中して働いた方が、生産性の意味で会社の利益に結びつく。

 

要は生産性の観点で自分の仕事を捉えられるかが大切なのだという。

 

社内には夜の11時すぎまで会社に残って黙々と仕事をしている人たちがいる。

会社に利益をもたらすために必死こいて働くことはとてもいいことなのかもしれない。

しかし、自分もそうなのだが、働くことに満足してしまい、仕事しているふりをしているだけで、利益を生み出していないサラリーマンが、日本には多い気がするのだ。

 

残業をすることに満足してしまい、肝心の利益率というものを疎かにしている。

 

この本の中には何度も書かれてあった。

これからの時代は、いかに生産性を高めていけるかだ。

 

定時まできちんと働いて給料をもらえて安定した生活を送れる時代はもう終わった。

これからは個人個人が生産的に動いて、新しい働き方を模索しなければいけない。

 

世の中全般が、生産性の観点から仕事を捉え、きちんと必要な仕事だけに集中し、無駄を削ぎ落としたら、仕事で精神を病む人も減ってくるのではないのか?

 

そんなことを考えさせられる良著だったら気がする。

 

 

 

 

 

紹介したい本

「週4時間だけ働く」   ティモシー・フェリス著