ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

普段Netflixで観る人でも、この映画だけは絶対に映画館で観た方がいいと思う理由  

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「映画は映画館で見るものだ!」

 

多くの映画通の人はそう語る。

確かにその通りだと思う。

私も映画は大好きだ。

できるなら映画館で観たい。

 

しかし、社会人をやっているとどうしても映画館に行く時間を作れない人も多い……

レイトショーで見ようとしても、翌日に仕事が入っていたら寝不足覚悟で映画館に駆け込むことになる。

 

それに加え、日本の映画館は一本1800円と娯楽にしては結構な値段がする。

金銭面も気にして、私は普段あまり映画館で映画を見る方ではなかった。

 

映画は昔から大好きだったが、もっぱらTSUTAYAのレンタルで済ましていた。

 

新作が公開されても

「あと、少ししたらレンタルは始まるし、わざわざ映画館行かなくてもいいか」

と思い、たいていの映画をレンタルDVDで見ていた。

 

 

生まれた時からビデオデッキやDVDがあった私たちの世代にとって、

映画は家のテレビで見るものという印象が強いと思う。

 

 

映画が大好きで学生時代には年間350本以上見ていた私でも、

ほとんどの映画をレンタルDVDで借りて、家のテレビで見ていたのだ。

 

それに、今の時代はもはやテレビを通り越して、スマホやパソコンで映画やドラマを見る時代だ。

 

朝の満員電車に乗っていると、スマホの小さな画面で映画を見ているサラリーマンを多く見かける。

みんな映画館に行くのではなく、Netflixなどを通じて映画を見るのだ。

 

私も何度かパソコンで海外ドラマや映画を見ることがあるが、やはり映画好きとして、なんだか腑に落ちないでいる自分がいた。

 

「映画はやはり映画館で見るものなんじゃないかな……」

そんな思いが心のそこにあったのだ。

 

 

 

そんな時、いつものように尊敬してやまない映画評論家の町山智浩さんのラジオを聴いている時、こんなことを耳にした。

 

「この映画だけは映画館で見なきゃいけない!」

やたらと町山さんが太鼓判を押す映画があったのだ。

 

なんだろう、この映画……

 

 

それは1962年に公開され、アカデミー賞7部門を総なめにした映画史に残る名作と言われている映画だった。

 

あの「ジュラシックパーク」を撮った映画監督スティーブン・スピルバーグも、幼少期にこの映画を見て、映画監督になる決意をしたという。

 

町山さんのラジオを聞いてから数週間後、私はその映画がリバイバル上映されている映画館を見つけた。

 

これは見に行くしかない!

そう思い、私は早速休日にその映画を見に行ってみることにした。

 

映画館の中はお年寄りで溢れかえっていた。

きっと若い頃に見た映画なのだろう。

1962年に公開されたにもかかわらず、今でもこんなにも多くの人を惹きつけるなんて……素直に凄いと思った。

 

館内が暗くなり、映画が始まった。

オープニングでは壮大なテーマ曲が流れていた。

 

昔の映画は、始まる前に5分ほど、テーマ曲が流れていたのだ。

 

私はその壮大なテーマ曲を聴きながら、これから始まる物語に胸をときめかせていた。

 

どんな物語が始まるのか……

 

テーマ曲が流れ終わり、映画本編が始まる。

 

私の目の前には壮大な砂漠が広がっていた。

 

 

なんだ、この映画は……

 

そうか……

町山さんが「この映画は映画館で見なきゃいけない」と言っていた理由はそういうことだったのか。

 

その映画は、まるで壮大な砂漠の中に観客を放り込むような演出が施されているのだ。

 

目の前に広がる壮大な砂漠を前に、私は圧倒されてしまった。

スクリーンいっぱいに砂漠が広がるのだ。

その砂漠の真ん中にぽつん、ぽつんと人らしき姿が見える。

 

 

これは凄い……

 

私はスクリーンいっぱいに広がる壮大な物語に夢中になっていた。

 

それは第一次世界大戦の時に、アラブの民のために立ち上がったとあるイギリス陸軍将校の物語だった。

民族の対立で荒れるアラブの民を団結させ、砂漠を走り回り、人々をつなげていったある偉人の物語なのだ。

 

私はこの映画を見ている時に、坂本龍馬の姿を思い出していた。

彼は鎖国していた日本をあるべき姿に変えるため、日本中を走り回り、人と人とをつなげて日本を変えていった。

 

この映画の主人公も龍馬のように国中を走り回り、対立する民族をつなげ、アラブの民のために立ち上がっていったのだ。

 

 

3時間30分もある映画だが、私は時間を忘れて見てしまった。

映画が終わる頃には、物語のスケールに圧倒され、館内が明るくなっても立ち上がることができなかった。

 

こんな凄い映画を作った人がいたなんて……

 

今の時代に見ても全く古さを感じさせない映画なのだ。

砂漠を走り回り、人と人とをつなげ国を変えていくその壮大な物語は、今でも多くのクリエイターたちに影響を与えているという。

 

スティーブン・スピルバーグはこの映画を見て映画監督を目指すようになり、

ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」はこの映画からかなり着想を得ているという。

 

ダークナイト」や「インセプション」で有名なクリストファーノーラン監督も

この映画から影響を受けて、70ミリの横長のIMAXカメラで撮影するようになったらしいのだ。

 

 

今でも、この映画はハリウッドのトップクリエイター達に影響を与え続けているのだ。

 

それに歴史的にもこの映画はとても意義のある映画だと言われている。

 

主人公のイギリス陸軍将校は、祖国のイギリスとトルコ、アラブの三枚舌外交の板挟みになり、アラブ人達を騙す形になったため精神的に追い込まれていく。

 

彼が問題視していた外交条約……

それが後にイスラエル建国につながるのだ。

アラブの民のため、彼が砂漠を走り回ったその土地は、後にイスラエルになる場所だったのだ。

 

今、中東で起きている紛争の原因がこの映画の中でも描かれている。

歴史の間に挟まれ、翻弄されつつもアラブの民のために立ち上がったロレンス将校の物語は、ぜひ映画館で観てみて欲しいと思う。

 

スクリーンいっぱいに広がる壮大な砂漠を前に、きっとあなたは感服するだろう。

きっと、その感動は小さなテレビ画面で見てしまうと半減してしまう。

 

映画「アラビアのロレンス」だけは、絶対に映画館で見るべき映画だと思う。