ライティング・ハイ

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ベトナム・ハノイを旅していると、情報で溢れた競争社会で生きていくすべを学べる

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ハノイだよ! 兄さん」

眠気をこらえながら、隣にいたおじさんの掛け声で私はゆっくりと起き始めた。

バスの外を見てみると、夜が明け、眩しい太陽が昇っていた。

 

バスに乗り始めて12時間が経っていた。

 

ベトナムホーチミンからハノイまで、ベトナムを横断する旅に出て、早2週間。

すべてのルートを深夜バスで回ってきたので、最終ゴールのハノイ行きのバスになると、12時間の深夜バス移動などへっちゃらになっていた。

 

明け方の5時になり、揺れが激しいベトナムの夜行バスの中でも気がついたらスッキリと眠れるようになっていたのだ。

 

ゆっくりとバスを降り、目の前にはベトナムの首都ハノイが広がっていた。

 

相変わらず、通りはバイクでごった返している。

 

ベトナムはバイク天国と言われている。

圧倒的に車よりバイクの方が多いのだ。

どこに行ってもバイクと人の塊で目が回ってきた私は、ひとまず今日泊まる宿を捜し歩くことにしてみた。

持ってきた地球の歩き方を片手にハノイ中を歩いて行く。

どこのゲストハウスも満杯である。

 

休暇を楽しむ欧米人で賑わい、ベトナムは今とても活気立っているのだ。

 

「これが30年前にアメリカと戦争した国なのか?」

そう思うくらいとても活気立っている。

 

アメリカ人からヨーロッパ人まで、ハノイには観光客でごった返していた。

その観光客を狙って、タクシーの客引きが道には溢れている。

 

タイ、カンボジアと旅してきた中でもベトナムの客引きは群を抜いてがめつい。

道を歩いていると、ガンガン客引きをしてくるのだ。

 

「お兄さん、バイク乗っていかないか?」

「日本人なら特別に半額にするよ」

 

とにかくガンガン客引きしてくるのだ。

特にハノイの客引きは危なかった。

ホーチミンなどは、浅黒い肌のお兄さんたちがバイクを使ってガンガン客引きしてくるが、ハノイとなるとなぜか肌の白いお姉さん方がガンガン客引きしてくるのだ。

 

ハノイは昔から美人が多いと言われるように、確かに美人が多かった気がする。

中国に近いせいか、色白の肌で綺麗な人が多いのだ。

なぜかハノイの客引きはその綺麗な姉さん方がガンガンと客引きをしてくるのだ。

 

これは変なところに連れてかれて、身ぐるみをはがされるパターンだ。

そう思った私は、その綺麗な姉さんがたの勧誘を払いのけ、目的の安宿探しに専念することにした。

 

宿を探している間に、ふと気がついた。

「シン・カフェ」という看板が多すぎないか?

 

道を歩いていて、どこの通りに出ても2〜3件「シン・カフェ」があるのだ。

 

「シン・カフェ」とは、ベトナムで昔からある旅行代理店の名前だ。

こっちで言ったらHISみたいなものだ。

 

自分もホーチミンにいた時は、「シン・カフェ」で夜行バスの予約をしたりしていた。

 

早速、次のラオス行きのバスを予約でもしようかなと思って、私は目の前にあった「シン・カフェ」でバスのチケットを買うことにした。

 

 

チケットを買ってから、ようやく客が少ない安宿を見つけ、私はゆっくり休むことができた。

休んでから、再び街を探索することにすると、やっぱりどうもおかしいことに気がついた。

 

どう考えても、この街だけで「シン・カフェ」が100件以上あるのだ。

一つの街に同じ旅行代理店が100件あるのはどう考えてもおかしいだろう……

 

 

安宿に戻り、受付の人に「シン・カフェ」について聞いてみることにした。

すると、ニコッと微笑みながら

「あ! それ、偽物だよ」

 

その人曰く、ハノイには偽「シン・カフェ」となるものが大量にあるらしいのだ。

 

100件近くある「シン・カフェ」のうち、本物は2件である。

みんな勝手に看板を「シン・カフェ」に書き換えて商売してしまっているらしい。

 

なんつう無茶苦茶な。

てか、法律とかで規制かけろよ……

 

そう思ったが、もう偽物の「シン・カフェ」でチケットを買ってしまった私はもう時すでに遅かった。

 

ネットで調べて、100件中、2件の本物の「シン・カフェ」を探してみることにした。

本物の周りには通りを挟んで10件「偽シン・カフェ」があるので、ネットで調べてもどれが本物なのかさっぱりわからない。

 

どこだよ、本物の「シン・カフェ」は!

 

偽シン・カフェで買ったチケットでも、目的地まで行けるかもしれない。

そう宿の人には聞いていたが、不安になってしまったので、チケットを破棄し、私は新しくまともそうな旅行代理店でバスのチケットを買うことにした。

 

あの偽「シン・カフェ」で買ったバスのチケットでも、目的地までいけたかもしれない。

そう思うとあの時払った4000円は勿体無かったなと思う。

 

今考えると、あの偽「シン・カフェ」で溢れかえっているハノイ市内から、本物の「シン・カフェ」を探すのは、日本で就活をすることに似ているなと思う。

 

 

自分にとって相性がいい本物の会社を見つけるために、就活情報サイトで溢れかえっている偽情報から、本物だけを抜き出し、受けていく会社を選んでいく。

 

 

どれだけ、情報を取捨選択できるかが就活というものでかつ秘訣なのだと思う。

 

ハノイの「シン・カフェ」騒動も、100件近くある中、どれが本物でどれが偽物なのか見抜くのも本人の選択次第なのだ。

偽「シン・カフェ」で買ったチケットでも目的地にたどり着くかもしれない。

しかし、それは運としか言いようがない。

 

溢れ出ている情報の中から、本物の情報を抜き取る。

その大切さを「シン・カフェ」で溢れかえっているハノイから学んだ気がする。

 

 

あの偽「シン・カフェ」に振り回された日々を思い出すと、結局、この競争社会を生き抜いていくのは、自分の選択次第なんだなと思う。

 

どれが本物でどれが偽物かのかわからない。

しかし、自分で決断した道を信じて進むしかない。

 

選んだ会社が自分にとって相性がいいかわからない。

選んだ結構相手と一生過ごしていくかわからない。

 

それでも自分が何100通りとある選択肢から選び取ったのだから、大切にしなくてはならない。

このごった返している情報社会の中で、どれだけ選択肢を減らせるか?

自分が選び取った選択肢をどれだけ大切にできるのか?

そのことが大切なのだと思う。

 

 

結局、私は100件中2件しかない本物の「シン・カフェ」を見つけ出すことができなかった。

それでも、まぁ、目的地までたどり着けたから結果的に良かったのかもしれない。