ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

正直、言ってしまうと……

 

「何の映画が一番好きですか?」

私が学生時代に年間350本以上映画を見ていたという話をすると、

まず間違いなく相手から聞かれる質問だった。

 

そう聞かれるたびに私は戸惑いを隠せない。

やれやれ、と思うのだ。

 

私は休みの日となると1日6本は映画を見て、映画を浴びるように見まくっていた時期があった。

何でそんなに映画を見まくっていたかというと、映画を撮りまくっていたからだ。

 

このシーンを撮るためには、どうすればいいんだろう?

 

脚本を書きていると、どうしてもネタが無くなってくる。

ネタがなくなるたびに、インプットが足りないと思って、浴びるほど映画を見まくっていたのだ。

 

TSUTAYAにある洋画の「あ行からわ行」まで全て見たんじゃないかというくらい見ていた。

おかげでTSUTAYAから年賀状が届いてしまった。

学生時代に映画を見過ぎたせいで、今TSUTAYAに行っても、見るものがなくて困っている。

1940年代から1950年代の白黒の映画もほとんど見た。

ヒッチコック、デビット・リーン、黒澤明オーソン・ウェルズフランソワ・トリュフォールイ・マルなどなど、名だたる映画人の映画はほぼ全て見た。

 

洋画のほとんどを見て、結局、何が一番面白かったのか?

そういう質問を聞かれるとどうしても戸惑ってしまうのだ。

 

年間350本以上映画を見てきて、私が一番面白いと思った映画。

それは……

ジュラシック・パーク」だった。

 

あまりにも王道すぎて、いうのが恥ずかしくなるのだ。

 

映画が好きな人があつまると、どうしても映画のうんちくが言いたくなるものだ。

「何の映画が好きなんですか?」

 

と質問されると、映画好きの人はたいてい……

スタンリー・キューブリックです」

フランソワ・トリュフォーですかね」

など、ちょっと映画通でマニアックなものを言いたくなる。

 

 

私も「何の映画が好きなんですか?」と質問されるたびに、

「実は、ヒッチコックの裏窓が好きでして……」

などと、王道ではなく、あえて通な人が知ってそうなマニアックな映画を言って、

映画通であることを自慢するようなことを言っていた。

 

 

もちろん、キューブリックトリュフォーの映画も面白い。

しかし、マニアックだ。

彼らが活躍したのは60年代で、その当時のカラーフィルムは今見るとどうしても質が劣り、映画にあまり興味がない人が見ても、面白いと思うかどうか微妙かもしれない。

 

1950年代から1960年代の古い映画をデジタルで育った私たちが見ると、どうしても質が劣っているように感じ、特撮シーンなど、ちゃっちく見えてしまうのだ。

 

 

学生時代に死ぬほど映画を見まくっていた私は、2000年代の映画から1940年代の映画まで、ほぼ満遍なく見ていたつもりだ。

 

古い映画を見ると、どうしても時代の違いからかストーリーについていけなくなり、途中で飽きてしまう映画もあった。

古典的な名作と言われるものでも今見ると古かったりする。

 

しかし、ある人の映画だけは何度見ても、いつの時代の人が見ても面白いと思うのだと思う。

 

それは、スティーブン・スピルバーグだった。

 

彼の映画はたいていでっかい怪獣が追いかけてくるシーンが多い。

ジュラシック・パーク」も然り、「激突」や「ジョーズ」もそうだ。

 

怪物に襲われる映画は古今東西、言語の違いがあれど、どんな人でも理解できる物語が備わっていると思う。

 

私は何度「ジュラシック・パーク」を見ても、やっぱり面白いなと思ってしまうのだ。

 

 

しかし、あまりにも王道すぎて

「一番好きな映画は何ですか?」と聞かれるたびに、

アラビアのロレンスですかね……」

とちょっと、マニアックなことを言って、ひけらかしている自分がいた。

 

言えない……

浴びるように映画を見続けて、一番面白いと思った映画が「ジュラシック・パーク」だなんて言えない……

 

 

しかし、とあるライティング教室で文章を書く極意を学び、こうして毎日書く習慣をつけていると、やはり王道のものを作れる人はすごいなと思うようになり始めた。

 

文章もマニアックな書き方ではなく、誰でも普遍的に理解できるように書ける人が一番すごいのだと思う。

ベストセラー作家の東野圭吾さんなんて、安易で平凡な文体しか使っていない。

頭がいい人向けの文章を書いているわけではないのだ。

誰でも多くの人の心に届くように、あえてわかりやすい文体で書いているのだと思う。

 

 

実際に、自分も文章を書き始めて、誰でも普遍的に共感できるような文章を書こうとするのは難しいと痛烈に感じるようになり始めた。

 

自分が面白いと思うものでも、他人からしたらどこが面白いのかわからない

ということはよくあるものだ。

 

毎日、ブログを書くようになってから、そのことが痛いほど感じるようになった。

 

やっぱり、王道だけど、王道を作り続けられるクリエイターの方が一番すごいと思う。

 

どうやったら普遍的に人に共感されるような文章が書けるようになるのか?

そういったことをこれからも研究していくしかないのだろう。

 

やはり、王道だけど王道を貫き通せる人はすごい。

 

「好きな映画は何ですか?」という質問に対し

ジュラシック・パークですかね」

と自信を持って言えるようになれたらと思う。