ライティング・ハイ

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苔寺で写経しているうちに、私はワタミ社長、渡邉美樹さんの言葉を思い出していた

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何度もこのブログでも書いてきたことなのですが、株式会社ワタミの渡邉美樹さんが書かれた「強く、生きる。」という本が今年に入っての私のベスト本の一つになってます。

 

ページを読んでいくとともに、20代から経営の世界で戦い続けた渡邉美樹さんの人柄がこれでもかと滲み出てきているのです。

読んでいるうちに、気がついたらページの端を折り曲げ、いつでもどこでも読み直せるように持ち歩いているほど、私はこの本に刺激されてしまいました。

 

コミュニケーションに悩んでいた私はこの本から人脈というものを学びました。

人脈というものの正体 - ライティング・ハイ

 

仕事はお金を稼ぐためにあるもの。

だから、お給料以上のことは特にしなくていいと思っていましたが、この本を読んでから私の中の仕事観が変わっていきました。

お金のために仕方なく仕事をしていたけども…… - ライティング・ハイ

 

普段、自己啓発本の類はあまり好きではなく、読まない方なのですが、私はこの本だけは何度も何度も読み直してしまうのです。

仕事をする上で、自分が置かれている立場が変わるにつれ、この本に書かれてきた内容が違った角度から心に染み渡ってくるのです。

 

そんな私に影響を与えたこの「強く、生きる。」ですが、ある一節だけが、どうやら私の心にしっくりときませんでした。

200ページ近くあり、何度も読み応えがある内容ですが、ある一節だけは今の私にはピンとこなかったのです。

 

それは……

「よい気を発せれば自然と人が集まってくる」

という言葉でした。

この一節を読んだ時、私はどうしても苦痛でしかなかった就活を思い出してしまうのです。

 

「なんで自分は落ちるのか……」

私は就活の時、だいぶ苦労していました。

30社以上にエントリーシートを出しても、すべて弾かれ、行き場もなく東京という名のコンクリートジャングルをさまよい歩いていたのです。

 

就活を一度経験されたことのある人なら少し共感されるところがあるかもしれませんが、就活はほとんど運で決まってしまいます。

 

100パーセントではないですが、努力でなんとなるものというよりかは、ほぼ運と縁と言ってしまってもいいかもしれません。

 

私はコミュニケーションに苦手意識を持っているため、面接対策をしなきゃと思い、滑舌の本などを読んで対策をしていきました。

しかし、いざ面接となると、なんだか腑に落ちない気分になるのです。

 

就活で受かる人は、なんとなく社風にあっているから内定……

なんとなく仕事できそうだから内定……

など、ほぼなんとなくで決まっていきます。

 

 

努力していい大学に入れれば、大手企業に入れると信じ込まされ、必死に受験勉強をしてきた私たちの世代にとっては、とても大きなカルチャーショックだったと思います。

面接で一緒になった某有名私立W大学の人は

「あれだけ必死に受験戦争を勝ち上がってきたのに、面接官の気分で自分たちの収入が変わってくるのか」

と投げやりな言葉を言っていました。

 

 

こんだけ努力しているんだから、内定を出してくれ!

と私は悲鳴をあげながら、就活をしていたと思います。

今思い返すと、相当おこちゃまですね。

 

しかし、いまだにどうしても就活に納得できないでいる自分がいるのです。

あの無意味にしか思えなかった、30分のグループ面接は何のためにあったのだろう……

 

ほとんどその人から発せられる雰囲気と印象から、受かる人と受からない人が決まっていく。

だから就活生はみんな嘘をついたら、話を盛ったりして、何としても面接官に好かれようとするのです。

この人生最大の嘘つき大会に一体何の意味があるのか?

 

体から発せられる雰囲気やなんとなくで決まっていく就活に憤りがあったのです。

 

だから、こんなに私に影響を与えた「強く、生きる。」の中でも、

「よい気を発せれば自然と人が集まってくる」という部分だけ認めたくない自分がいたのです。

 

そのことを認めてしまうと、憤りを感じていた就活を肯定してしまう気がしていました。

 

しかし、その一節の意味がとてもよくわかった経験を最近しました。

京都を旅して巡った時です。

ゴールデンウィークは、ありがたいことに結構多めの連休をいただけ、私はずっと、きちんと巡ってみたいと思っていた京都を旅することにしました。

大型連休となると、飛行機の燃料チャージ代は普段の3倍以上になります。

海外に行こうとなると、とてもじゃないですが金銭的に余裕がありません。

それならきちんと日本を巡ってみようと思い、私は京都を訪れることにしました。

 

苔寺っているお寺が面白いらしいよ」と会社の上司から聞いていたので、一週間前に往復ハガキを送り、ハガキを持って苔寺を訪れました。

 

境内の中は外国人観光客であふれかえっていました。

一眼カメラを手に持っている人がちらほら見えます。

 

どうやら庭園に生えている苔を写真に捉えようと、カメラファンが集まってきているようなのです。

私は寺の住職さんに導かれるかのようにして本堂に案内されました。

そこで渡されたのが、一本の筆です。

苔寺は不思議なもので、1時間半の見学時間のうち、はじめの1時間で写経をして心をきれいに洗わないと庭園の苔を見せてはくれないのです。

 

この写経がまた苔寺の人気の一つなのかもしれません。

日本に興味を持つ外国人の方々は、きれいに筆を持って写経の練習をしていました。

私はというと、写経なんてしないで、早く庭園を見せてくれ! 

と思ってしまいました。

 

「それでは写経を始めてください」

住職さんの掛け声で一斉に写経が始まりました。

私も筆を持って写経を始めていきました。

 

 

写経を始めて20分が経つと、周囲からどこかため息が聞こえてきました。

「やってられない……」

そんなことを嘆くおじさんが現れたのです。

ふと、そのおじさんを見ていると、なんだかその人の周りだけ空気が淀んでいるように見えました。

 

10分も正座をして写経をするとなると、慣れていない人にとって苦痛でしかありません。

そのおじさんは金を払ったんだから早く庭園を見せろと心の中で思っていたのでしょう。

 

写経をしているうちに、文字にその人の心が表れるという住職さんの言葉の意味もわかってきました。

よく見てみると自分が写経している字はどこかふにゃふにゃで、自信がない字のように見えました。ささっと終わらせればいいという気持ちが文字にも表れていたのです。

 

これではいかん!

と思って私は必死にしっかりと写経をしていきました。

心を無にして、写経をしているうちに、私は渡邉美樹社長が言っていた言葉の意味がようやく理解できました。

 

自分の体から発せられる気は周囲に伝染するものなんだ。

気がつかないうちに発している自分の雰囲気が、周囲にも伝染して行っている様子が、愚痴を吐きながら写経をしているおじさんを見ているうちに手に取るようにわかったのです。

 

なんだか論理的なものではないかもしれませんが、後ろの方から写経をしている人たちの後ろ姿を見ていると、その人たちの人間性や人柄がわかるものです。

 

 

なんだか就活の面接官になったような気持ちになりました。

 

大手企業の面接となると1日に何百人という学生を見ることになります。

その学生と見て、パッと合否を決める分かれ道はほとんど第一印象だと言われています。

パッとその人を見て、その人から発せられる雰囲気で合否が決まっていくのです。

 

見た目だけでその人が仕事できるかどうかなんて判断できるはずがない。

そう就活をしていた時の自分は思っていました。

しかし、社会人になり、いろんな挫折を味わっていくうちに、その人から発せられる雰囲気をみれば、仕事ができるかできないか判断できるんだなということに気がつき始めました。

 

やはり、きちんと真面目にコツコツ仕事をする人は、顔にもそれが滲み出てくるものです。

上のいいなりになって、言われたことだけをやっている人はやはり汚い気を発している気がします。

 

写経をしている時、チラッと周囲を見回しているとそのことがものすごくわかりました。

その人が発している気を見れば、人柄がわかるのです。

 

 

「人は論理的なものよりも、空気に惹かれるもの。

だから、いい気を発している人には自然と人が集まってくる」

 

そう言っていた渡邉美樹さんの言葉がようやくわかりました。

 

あ、就活の時、私は邪悪な気を発していたんだな……

そりゃ、落ちるわ。

そんなことを思ったのです。

 

 

多少、論理的でない話になって申し訳ありませんが、その人から発せられる雰囲気というか気が、人を惹きつけるかどうか決めているのは事実だと思います。

 

所詮、人間は人に流される生き物です。

いい気が流れている場所に、人は自然と集まってくるのだと思います。

 

 

目の前のにがむしゃらにしがみついて、努力を怠らない人は、自然と人を惹きつける気を体から発せられるようになるのでしょう。

 

渡邉美樹さんが言っていたように、

下手にパーティーなどに出席して、名刺を配り歩いて人脈を広げようとするよりも、自分自身を磨くこと……目の前のことにがむしゃらに努力することが人を惹きつける秘訣なのだと思います。

 

 

 

 

 

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