睡眠に悩む人には、この本が特効薬になるかもしれない
「寝れない……」
それは、子供の頃からの悩みだった。
布団の中に入ってもなかなか寝付けない日々が続くと日中も頭が朦朧としてくるものだ。
今でもたまにあるのだが、私は寝付くのに1時間はかかる子供だったのだ。
布団の中に入って、目をつむっても1日の出来事が脳内でリピート再生されてしまい、全く寝れなくなるのだ。
それに加え、ちょっとした物音ですぐ起きてしまう体質だったのだ。
「あなた、本当に眠りが浅いわね」
よく母親にこう言われた。
どうしたら眠りが深くなるだろう。
そんな悩みをずっと抱えていた。
小学生だった頃、クラスメイトに平均睡眠時間が約3時間の子がいた。
彼はパソコンをいじりながら、明け方4時まで毎日起きているという。
(小学生でその睡眠は大丈夫なのか……と今なら思う)
私はそんなクラスメイトを見て、「寝なくても平気なの?」と声をかけたことがあった。
「うん。なんか早く寝るほうが体調悪くなるんだよね。3時間ぐらいがちょうどいいんだ」
そうクラスメイトは言っていた。
睡眠に悩まされていた私には衝撃的だった。
6時間以上は寝なきゃ、目がボ〜としてしまい、日中から偏頭痛がしてくる私には、約3時間睡眠でバリバリの人が羨ましくて仕方がなかった。
なんで3時間で睡眠が満足できるんだろう。
小学生ながらそのことを必死に考えていた。
よく考えたら人生の約3分の1を睡眠に使っているのだ。
約3時間睡眠を手に入れたら、残り21時間を自分の好きなことに使えるではないか!
そのクラスメイトの話を聞いてから、小学生だった私は3時間睡眠を目指したことにしたのだった。
小学生ながら、夜中2時過ぎまで起き、明け方5時に起きてみることにした。
しょっぱなから死人のように目が真っ黒な状態で学校に通うことになった。
先生は「あなた大丈夫?」と声をかけてきた。
3時間睡眠を手にいれるには、3日は耐えなきゃならない。
なぜか、私はそう思い、3日間3時間睡眠をすることにしたのだ。
3日目の翌朝、私はぶっ倒れた。
めまいが止まらなくなり、二度寝しないと学校に行けなくなったのだ。
「あなた何バカなことやってんの!」
と母親に叱られた。
その日は、確か学校を休み、3日分の睡眠不足を取り戻すかのように私は一日中眠りについた。
何で3時間睡眠で平気な人もいれば、6時間は睡眠を取らなきゃいけない人がいるのか?
不公平ではないか!
そんなことを思った。
大人になってからも、私は3時間睡眠の人に憧れを抱いていた。
明石家さんまはテレビの中でも、プライベートでもハイテンションのままをキープしているという。
どこに行っても喋りまくるのだ。
しゃべるに喋りまくる性格のせいか、夜中までテンションが高く、睡眠時間も2時間ほどだという。
人よりも圧倒的に寝る時間が短いので、深夜一人で録画しておいたバラエティ番組を見直し、自分の喋りを反省したり、他の番組をチェックすることに費やしているのだ。
睡眠時間が短いと、人よりも倍の時間、何かに費やせるのだ。
どうやったら3時間睡眠を手に入れられるのか?
そして、どうしたら質のいい睡眠を手に入れられるのか?
社会人になってからもずっとそんなことを思っていた。
忙しい毎日を送っていると、どうしても終電近くまで会社に残り、朝早くから仕事に行かなきゃならない日も出てくる。
そんな時、きちんとした睡眠を取るにはどうしたらいいのか?
レム睡眠とノンレム睡眠の周期の関係から90分の倍数で寝ると人間は睡眠の質が上がるという話を聞いたことがある人も多いかもしれない。
しかし、実際に90分の倍数を寝たら、質のいい睡眠が取れるかといったら、違う気がする。
5時間眠るより、4時間半眠ったほうがノンレム睡眠の時に起きれるので、目覚めがいいという神話を私はどうしても信じられなかったのだ。
どうすればい質の高い睡眠を手に入れられるか?
それが社会人をやるようになった私の最大の悩みだった。
そんな時、この本と出会った。
いつも通っている本屋さんの棚にこの本が置いてあった。
「スタンフォード式 最高の睡眠」
私はこれまで、睡眠についての本を何冊か読んだことがあった。
ショートスリープの本も読んだし、「90分の倍数の時間を寝るように!」と書かれた本もあった。
しかし、どれも納得のいく内容の本ではなかったのだ。
質の高い睡眠について書かれた本と私はこれまで出会うことがなかった。
この本も私の睡眠についての悩みを解決してくれそうにないな……
そんなことを思いながらも、私はプロローグを読んでみることにした。
「90分間の倍数で寝ても、目覚めが悪いケースがいくらでもある」
私はその一行を読んだ時、衝撃が走った。
自分が感じていたことが最先端の睡眠研究のもとに証明されていたのだ。
なんだこの本……
今まで私が悩んでいたことがすべて書かれているではないか!
そう直感的に思い、私はその場で本を買い、読んでみることにした。
私が長年、憧れていたショートスリープ(短時間睡眠)についても書かれていた。
やはりな……やっぱりそうだったんだ。
睡眠時間が短い人はやはりそうなのか……
その項目にはショートスリープが遺伝的な要素で決まることが最新の科学研究をもとに証明されていると書かれてあった。
ショートスリープを手に入れようとしても、世の中の9割以上の人には無理な話なのだ。
ほぼ遺伝的な要素で決まってしまうため、ショートスリープを手に入れようとしても無理が生じるが、それでも平均的な人が、短時間睡眠でも日中のパフォーマンスを下げない睡眠方法がその本の中には書かれてあった。
なるほど。
そうすればよかったのか。
私には目からウロコの内容が満載だった。
「90分間周期の睡眠を意識するのではなく、最初の90分間をいかに質のいい眠りにできるかが勝負」
本全体を通して、最初の90分間という睡眠のゴールデンタイムを、良質の睡眠にする方法が書かれてあるのだ。
私はこれまで、睡眠にずっと悩まされていた。
ショートスリープを手に入れようとして、失敗もした。
質のいい睡眠が取れなく、仕事のパフォーマンスが下がることもあったと思う。
しかし、この本を読んでから、私の睡眠についての悩みは少し緩和されたような気がする。
何時間寝れたかよりも、最初の90分間の睡眠の質をいかに高めるか?
それが、睡眠に悩む人たちが解決すべきポイントだったのだ。
私は、この本に書かれてあったことを寝る直前に実践してみた。
すると、徐々にだが、眠りの質も向上してきたような気がする。
昼食後、眠くなることが減ってきたのだ。
やはり、最初の90分間の睡眠をいかに質の高いものにできるかが勝負なのだと思う。
睡眠に悩む人には一度は読んでみてもいい本だ。
紹介したい本
「スタンフォード式 最高の睡眠」 サンマーク出版 西野精治著