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ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

自分の武器を捨てて、弱さを認めよ

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「なんで自分は弱いのか……」

私は半ばパニック障害になりながら、その時電車に乗っていた。

怪物の口が開くかのように満員電車のドアは開いていた。

なだれ込むかのようにその口の中に入っていく人々。

 

私は電車に乗っていく人々を前にして硬直していた。

会社に行きたくない……

 

私はその時、完全に頭がおかしくなっていたと思う。

新卒で入った会社はテレビ制作会社だった。ADとして死ぬほど働いた。

朝の4時までロケテープを取り込み、早朝6時には次のロケのために準備を始める。

収録などが立て込み、超絶忙しい時となると、一日平均睡眠時間が30分ほどだった時もあった。

 

私は立て続く睡眠不足に頭がおかしくなった。

よく考えたら、自分で選んで映像制作の道だ。

好きで選んだはずだった……

 

しかし、好きなことだからこそ、仕事にすると辛いこともある。

私は理想と現実のギャップに苦しみ、もがいていた。

 

半ばノイローゼ状態のまま、朝の満員電車のホームに降り立っていたと思う。

今でも覚えている。

「4番線に各駅停車〜新宿行き〜」

ホームにこだまする駅員さんの声に連れられ、私はホームの中に吸い込まれそうになった。

 

電車はホームになだれ込むかのように入ってきた。

大きなクラクションを鳴らしながら、駅のホームに入ってくる。

「ブォォォォ」

 

私は思考停止した脳みその中で、電車のクラクションがこだまし、ふと我に返った。

目の前数センチのところを電車が通過していった。

 

そのまましゃがみ込んだ。

私は驚いた。

本当に無意識だ。

電車が入ってくる線路の中に吸い込まれそうになったのだ。

 

連続する睡眠不足が続いて、ノイローゼ状態の私の脳でも

「さすがにやばい」ということはわかった。

このままではさすがに死ぬ。

 

私はその日、会社を辞める決断をした。

上司に辞めるといった記憶すらない。

なんだかよくわからないうちに会社を辞めることになっていたのだ。

 

私はその日から動けなくなった。

じっと家に閉じこもり、外の世界との情報を遮断していった。

大学や高校の同級生は必死こいて働いているのに、自分はわずか数ヶ月で会社を辞めてしまったのだ。

自分の弱さを痛感し、私は身動きが取れなくなってしまった。

 

SNSを見てみたら、会社の愚痴を呟きながらも月一ほどで飲み会を開いている同級生の姿も見かけた。

私はそんな同級生を見ているうちに、吐きそうになった。

強烈な劣等感を感じ、SNSも見れなくなったのだ。

 

そんな風にして世の中をさまよっているうちに、私はとある一本の記事と出会った。

それは東京のとあるライティングゼミに通う生徒さんが書いた記事だったと思う。

どこのサイトだったか覚えてないが、ネットをいじっているうちに、

どこかからか私の前に現れたのだ。

 

何だこの記事は!

 

その時、ただ呆然としながらその記事を読んでいたと思う。

私はもともと、文書を書くことは好きだった。学生時代も自主映画をアホみたいに撮っていた関係で脚本を書くことには慣れていた。

脚本を書くことは楽しかった。自分の脳みその中にある絵を文章の形にして吐き出していくのだ。

自分が書いた脚本を人に見せ「この話、面白い!」と言ってもらえるのは死ぬほど嬉しかった。

 

私はそのネット上で見かけたライティングゼミ生が書いた記事を読んだ時、無我夢中になって取り組んで脚本を書いていた日々を思い出していた。

 

私もこんな記事を書きたい!

そう思った私はそのライティングゼミに通うことを決意した。

 

プロのライターさんから人を動かす文章術を学んでいくうちに、

私は文章を書くことにのめり込んでいった。

 

毎日のように記事を書き、書いて書いて書きまくった。

ライティングは不思議なものだ。

文章もポジティブな終わり方をすると、自然と身の回り方ポジティブな情報が目に入ってくるようになるのだ。

ありふれた日常が愛おしく思える。

 

書いては吐き出してを繰り返し、私はいつしか月日が経った。

プロのライターさんとして食っている人にも多く出会った。

一般の専業主婦をしながらライティングに励んでいる人にも出会った。

そんな人たちと出会いながらもいつも、私はどこか自分の弱さに後ろめたい気持ちがあった。

 

私は弱い人間だ。入った会社も数ヶ月で辞めてしまったのだ。

破壊的なバズを起こすような記事を書いている人は、自分の芯がどっしりとしていて、濃厚な記事を書いていた。

私はそんな記事を読んでは、自分の文章の浅はかさを痛感していた。

なんで自分の書いたものはこんなにも中身が空っぽなのか。

 

自分がやっと見つけたライティングという場面でも自分の弱さに嫌気がさしていた。

 

自分は弱い人間だ。

そんな人間が書いた文章など面白くない……

そう思えて仕方がなかった。

 

 

そんな時、ふと本屋さんでこの本を見かけた。

私は目にした瞬間、帯に書かれてあった言葉に惹きつけられてしまった。

 

そこにはこうあった。

「自分の弱点を認めた人間は強い」

 

それは大ヒット漫画「暗殺教室」の作者松井優征と世界的なデザイナー佐藤オオキが

対談したインタビュー集だった。

私はその帯に書かれてあった文章に引き寄せられるかのようにして、その本と出会った。

早速、本を購入し、家にこもって読んでいった。

 

そこには弱さを抱えた弱者が、いかにして少ない武器で強者に勝っていくかという戦法が書かれてあった。

 

「自分の弱点を一回認めた人間は強い」

そう切り返し本では書かれてあった。

 

「漫画やデザイナーの世界では、自分より絵が上手い人がゴロゴロいる。そんな中、自分の才能のなさを一度認めた人間は強い。クリエイティブな世界でいかにして戦っていくかを必死に考え、戦うために他の人が手を出していない分野を磨いていく。そうこうしていくうちに自分にしかできない表現が身についてくる。

一番大切なことは自分の弱点を認めてあげることだ」

 

少ない武器でいかにして強敵を倒していったか?

まるでドラクエの世界をゲームしているような仕事術がそこには書かれてあった。

 

私は特別、何かの才能があるわけでもない。

一度入った会社も数ヶ月で辞めてしまった人間だ。

だけど、そんな弱さを抱えて自分でもできることがあるのではないかと思えてきた。

 

きちんと自分の弱点を認め、いかにして強者と向きあっていくか?

それが大切なのだと思う。

 

プロのライターに混じっても、きっと自分にしか書けないものがあるはず。

そう思えてきたのだ。

 

私は今日からまた再び社会人として働き出す。

一度挫折してしまった私のような人間でも、自分の弱点を認めることで、やれることがきっとあるのではないか。

そう思って私は早朝混み合っている満員電車の中に飛び込んだ。