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ライティング・ハイ

年間350本以上映画を見た経験を活かしてブログを更新

今の日本を描くのに一番ふさわしいのは「性風俗産業」であると、アニメ界の巨匠は言った。

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「え? あれってそんな映画だったの」

その事実に気づいたのは私が大人になってからでした。

 

普段のように、映画のことならこの人にお任せという映画評論家の町山智浩さんの

ラジオをyoutubeで聞いていた際に、その事実に気づいたのです。

 

私はその町山さんの解説を1文字も漏らさない勢いで聞いていたと思います。

 

すごい……

そんな事実が隠されていたなんて……

と思ったのです。

 

思い返せば、私は小学校2年の時に見たその国民的アニメにずっと疑問の念を抱いていました。話の内容がよくわからなかったのです。

当時は皆、映画館に駆け込んで、そのアニメを見ていました。

記憶が正しければ、約5か月以上のロングランでした。

 

そんなメガヒット級のアニメでしてが、私は町山さんの解説で、

映画で描かれていた背景の真相を知り、衝撃が隠せませんでした。

そして、何も考えずに、ただボケ〜とそのアニメを見ていた自分を呪いました。

 

「当時、誰一人として疑問も持たずにその映画を見ていた……日本はどうなっちゃったの」と町山さんは解説しています。

 

確かにその通りだなと思いました。

自分も含め、あの当時、大衆はただ流行っているからという理由で映画館に人が殺到していたのだと思います。

そして、その映画を見た多くの人が抱いた感想は

「なんだかよくわからなかった」です。

 

 

小学校2年生だった私も内容がよくつまみきれませんでした。

 

なんで、ここでこの神様はブチ切れるんだ?

なんで、少女は名前を奪われてしまうんだ?

 

と不思議に思いながら映画を見ていたと思います。

 

町山さんは解説します。

「これ僕が言ったんじゃなくて、宮崎駿自身がインタビューで答えているよ」

 

本当か?

と思い、私はネットを使って調べてみました。

すると、とある雑誌のインタビューで、思う存分、アニメ界の巨匠は映画が作られた背景を答えていたのです。

 

「今の世界として描くのは何がふさわしいかと言えば、それは風俗産業だと思うんです。日本はすべて風俗産業みたいな社会になってるじゃないですか」

 

その監督の言葉に重い、重い意味が込められていたと思います。

映画が公開された2001年の当時、バブルが崩壊して日本が浮足立ってどこに向かっていいのかわからない状況に覆われていたと思います。

 

ものが溢れかえり、人々の欲求がどこに向かっていいのかわからない時代。

加速する消費社会に翻弄され、常に浮足立って身動きが取れず、生きている心地がしない人たちが多かったと思います。

 

その頃だったでしょうか?

女子高生の援助交際の問題が話題になったのは。

 

アニメ界の巨匠はそんな日本の姿を見て、今の少女たちは周囲の「性」に翻弄されていると思ったのかもしれません。

 

私はそのインタビュー記事を見て、衝撃的でした。

あのアニメ映画はそんな深いところも描いていたとは……

人間の欲望や業を描いていたなんて。

 

 

私はその映画を10年以上ぶりに見直してみることにしました。

また私は衝撃を受けました。

そして、私は笑ってしまいました。

 

本当に風俗産業を描いた作品だったからです。

私は小学校2年生の頃、風俗で懸命に働く少女の物語を見ていたのです。

 

 

この映画は外国人と日本人とでは味方が変わってくると思います。

性に無頓着な日本人は、赤い壁や赤い提灯を見ても、何も想起されるものがないと思いますが、外国人は違います。

 

赤い壁、赤い提灯は万国共通で「風俗」を意味します。

私がタイ、ベトナムを旅した時も、街中に赤提灯を多く見かけました。

壁には裸の女性が描かれた絵が描かれ、中は人でごった返していました。

 

そのアニメはいたるところに赤い壁と赤提灯が描かれています。

私はただ、銭湯で働くことになった少女が成長していく物語だと思っていました。

しかし、よく考えたら、その銭湯に来るお客さん(神様)は、みんな銭湯で働く湯女たちに体をゴシゴシ洗ってもらっているのです。

 

そして、銭湯を仕切る魔女が出てくるシーンで、背景の壁にこう思いっきり描かれています。

 

「回春」

(その意味はとてもじゃないですが、ここでは書けませんので、自分でググってみてください)

 

思いっきり書いてあるじゃん!

と思って、私は笑ってしまいました。

 

ここまで書いたらだいたいの人にはわかってしまっていると思います。

 

私が衝撃を受けたアニメは2001年に大ヒットした「千と千尋の神隠し」です。

今でも日本興行成績一位の映画です。

 

君の名は。」は200億円突破したようですが、300億円の興行収入をたたき出した「千と千尋の神隠し」を超えることはさすがにできないでしょう。

 

千と千尋の神隠し」は公開された当時、この映画は多くの人から絶賛されました。

インテリ階級から批評家までも絶賛の嵐でした。

 

しかし、千尋が働くことになった銭湯が今でいう「風俗」であることを誰も突っ込まなかったのです。

 

町山さんはそのことを疑問視していました。

アメリカ人の多くが、「この映画は風俗の話だ」という評論が飛び交っているのに、

日本人の多くが何もわからずにこの映画を見ていたからです。

何も考えずに行動していたのです。

 

宮崎駿は自分の家にやってくる知人の少女に向けてこの映画を作ったと言っています。

少女たちに現実逃避のための物語でなく、きちんと現実を見せる映画を作りたかったのではないでしょうか?

 

働きづらさを感じた女性たちは、社会に消費されていっている。

そんな現実社会を生きることになる少女たちを励ましたかったのではないでしょうか?

 

 

ピクサーの「モンスターズ・ユニバーシティ」を書いた時も思ったのですが……

努力ではどうにもならないものを目の前にして「生きづらさ」を感じている人がいたら、あのピクサー映画は特効薬になるかもしれない - ライティング・ハイ

 

子供達に向けたアニメでも、きちんと社会の現実を見せ、励ましのエールを送る

アニメ制作者たちは本当に偉大だと思います。

 

宮崎駿ジョン・ラセターがそうです。

 

私は今、子供の頃に「千と千尋の神隠し」を見て育って、本当に良かったと思います。

 

現実逃避のはけ口でなく、きちんとした社会の現実を見せてくれたのです。

 

2017年現在、宮崎駿のように、子供達に向けて、きちんとした社会の責任ある態度をとるコンテンツは少ないと思います。

 

子供達は皆ゲームばかりしています。

 

派遣労働や、派遣切りが進み、ますます社会は消費社会の方向に進み、女性にとって

性風俗産業」のようにただ消費されるだけの存在になっているかもしれません。

 

宮崎駿が残したメッセージは多くの人に伝わっているのでしょうか?

町山さん曰く「一番悲しんでるのは宮崎駿自身だと思うよ」と語っていました。

 

「だって、映画はヒットしても自分の映画のこと誰もわかってくれてないんだもん」

 

私はただ、ボケ〜とこの映画を見ていたことをとても反省しました。

きちんと自分の頭で考えて、物事を見ていなかった自分を後ろめたく思いました。

 

目まぐるしく変化していく中で、ただ闇雲に大衆に流されることなく、

自分の頭で考えるが大切なのだと思います。

自分の考えで物事を判断しなければならないのです。

 

ただ大衆に流され、社会に消費されつつある2017年を生きる今だからこそ、

このアニメを見直した方がいいのかもしれません。

 

私は子供の頃に初めて見て、大人になってから改めて見直して、深い深い物語だというのがやっとわかりました。

 

本当にアニメ界の巨匠はすごかったです。